「武豊を追いかける」証拠映像がジョッキーカメラに!? 「マークする相手を間違えました…」前日重賞初Vの若武者が敗戦の弁
14日の最終日までもつれた函館の騎手リーディング争いは、13勝を挙げた横山武史騎手が2年ぶりの戴冠を果たした。最終週は勝ち星を上積みできなかったものの、それまでの貯金がものをいった。
佐々木大輔騎手と武豊騎手が1勝差の12勝で並んだが、2着の差で佐々木騎手が2位、武騎手は3位となった。若手騎手とレジェンド騎手による激しい争いは夏の函館を大いに盛り上げたといえるだろう。
そんな函館開催の最終日のメインとして行われたのが函館記念(G3)。ハンデ戦だけに、どの馬にも勝つチャンスがありそうな混戦模様を呈していたが、終わってみれば岩田康誠騎手の3番人気ホウオウビスケッツの圧勝だった。
50歳のベテランが巧みな手綱さばきを見せた一方で、やや悔いの残る騎乗をしてしまったのが20歳の佐々木騎手である。
佐々木騎手「マークする相手を間違えました」
佐々木騎手といえば、前日の13日に函館2歳S(G3)をサトノカルナバルとのコンビで勝利。3年目にして自身初の重賞タイトルを獲得したばかりだ。2日連続重賞勝利と行きたかったはずだが、初コンビのチャックネイト(セ6歳、美浦・堀宣行厩舎)と臨んだ一戦はあえなく6着に敗れた。
レースはアウスヴァールが作り出した淡々とした流れを、ホウオウビスケッツが2番手から押し切って勝利。逃げたアウスヴァールが3着に粘ったように、結果的に前有利の馬場だったことは間違いない。
チャックネイトが6着に敗れたレース後、佐々木騎手は「マークする相手を間違えました。13番(デビットバローズ)が早めに下がってきて、行けませんでした」と敗戦の弁を述べている。
外目の15番枠から好スタートを決めたものの積極的には出していかず、中団に控える競馬を選択した佐々木騎手。「マークした相手」というのは、おそらく武豊騎手が騎乗した5番人気デビットバローズのことだろう。1コーナーを回ったところで、同馬の直後にピタリとつけて動くタイミングを見計らっていた。
しかし、佐々木騎手の思惑は大きく外れてしまう。デビットバローズは3コーナー手前で手応えが怪しくなると、徐々に後退。すぐ後ろにいたチャックネイトは左右にも馬がいたこともあって、一瞬、動くに動けない状態に陥ってしまった。
「状態は良かったですし、もう1列前に入っていれば結果は違ったかもしれません。申し訳ないです」
佐々木騎手がそう話したように、なんとか外に進路を切り替えたが時すでに遅し。直線でジリジリと脚を伸ばしたが、プラチナトレジャーとの5着争いに加わるのがやっとだった。
ジョッキーカメラに“証拠”が?
「『マークする相手を間違えました』という佐々木騎手ですが、JRAがレース後に公開したジョッキーカメラにも“証拠”が残っていました。奇しくも、このレースでジョッキーカメラを装着していた一人が佐々木騎手。スタートからゴールまでの映像が公開されています。
枠の近い有力馬ということもあって1コーナー過ぎから、カメラ(佐々木騎手)は終始デビットバローズと武豊騎手のお尻を追いかけており、同馬が下がってきたタイミングで八方塞がりに……。道中も進路を失わないようにしきりに外を気にしていましたし、前日の函館2歳Sでは4コーナーでうまく外に持ち出して差し切っていましたが、対照的なレース運びになってしまいました」(競馬誌ライター)
今回は目標を見誤ってしまった佐々木騎手だが、まだ20歳の若武者。これを糧に大きく飛躍してもらいたい。