【クイーンS(G3)展望】秋を見据え「逆襲」の武豊ボンドガール登場! 秋華賞馬スタニングローズ、ウンブライルら古馬陣が迎撃
28日、札幌競馬場で夏の牝馬限定重賞クイーンS(G3)が行われる。今年は古馬と3歳馬の戦いが激化。秋の大舞台に向けて、興味深いレースになりそうだ。
最大の注目は3歳牝馬のボンドガール(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。
キャリアこそ4戦1勝ながら、昨年6月に後のオークス馬チェルヴィニアを2着に下してのデビュー勝ち。3着コラソンビートも後に京王杯2歳S(G2)勝ち、4着マスクオールウィンもフェアリーS(G3)で2着するなど、ハイレベルな新馬戦を制している。
一躍、翌年のクラシック候補に躍り出たボンドガールだったが、単勝1.4倍に推されたサウジアラビアロイヤルC(G3)で2着に敗れると、12月の阪神ジュベナイルF(G1)を目指していたものの放馬により、右前肢をぶつけてしまうアクシデント。歯車が大きく狂ってしまった。
一度狂った歯車はなかなか戻らない。3歳春を迎えたボンドガールだったが、復帰戦に予定されていた桜花賞(G1)でまさかの除外。前日のニュージーランドT(G2)に回ることになったが、そこでも2着に敗れてしまった。
さらに本番のNHKマイルC(G1)では、最後の直線で行き場を失う痛恨の不利。レース後に主戦の武豊騎手が「アンラッキーだった」と悔しがった通り、勝負所でほとんど追うことができないまま17着に大敗している。
今回のクイーンSは賞金の加算はもちろん、失ってしまった良い流れを取り戻す必要がある。秋に向けて本来の輝きを取り戻すことができるか、重要なレースになる。
そんなボンドガールを迎え撃つ古馬陣は骨太なメンバーが揃った印象だ。中でもウンブライル(牝4歳、美浦・木村哲也厩舎)は、そろそろ重賞タイトルが欲しいところだ。
ここまで9戦2勝と、ボンドガール同様やや取りこぼしの多い印象だが、昨年のNHKマイルCで2着した実力派。今春も阪神牝馬S(G2)2着、ヴィクトリアマイル(G1)6着と牝馬相手なら上位の存在と言えるだろう。
ポイントは初の1800mになる。兄のマイル王ステルヴィオはスプリングS(G2)勝ちや、毎日王冠(G2)2着など、1800mも守備範囲にしていた。これまで1600mを中心に使われてきたウンブライルだが、200mの距離延長で新味が出るかもしれない。
舞台となる札幌の芝1800mでポテンシャルを発揮できそうなのが、ドゥアイズ(牝4歳、栗東・庄野靖志厩舎)だ。
この春は洛陽S(L)を快勝すると、阪神牝馬Sで5着、ヴィクトリアマイルでも4着と安定した結果を残したドゥアイズ。札幌の芝1800mはデビュー勝ちの他に、コスモス賞(OP)、札幌2歳S(G3)でも2着に好走した舞台。初の重賞タイトルゲットに向け、絶好の舞台になりそうだ。
3歳馬のコガネノソラ(牝3歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)も面白い存在だ。
昨年10月の初勝利までに4戦を要したコガネノソラだったが、そこから芝1800mを3連勝。特に今年4月のスイートピーS(L)では最後の直線で上がり最速の末脚を披露し、見事にオークス切符をゲットしている。
残念ながら本番のオークス(G1)では12着に大敗したものの、距離が2400mから実績のある1800mに戻るのは、この馬にとってプラスに違いない。ここで結果を残せば、胸を張って秋華賞(G1)に挑むことができるはずだ。
1800m適性という点ならコンクシェル(牝4歳、栗東・清水久詞厩舎)はスペシャリストと言える存在だ。
重賞初制覇となった今春の中山牝馬S(G3)も然ることながら、1800mは5戦4勝と抜群の相性を誇っているコンクシェル。前走のヴィクトリアマイルこそ13着に大敗しているが、ここは陣営が狙い澄ました一戦だろう。ハナを切って自分の形に持ち込めば重賞2勝目が見えてくる。
他にも、ここでは負けたくない一昨年の秋華賞馬スタニングローズ、フェアリーS(G3)を勝った3歳牝馬のイフェイオン、昨年の2着馬ウインピクシス、一発のある末脚が魅力のモリアーナなども十分に上位争いが可能な実力派だ。
果たして、夏の札幌で存在感を発揮するのは3歳牝馬のボンドガールか、それとも古馬が高い壁となるのか。秋の大舞台を見据え、例年以上の注目を集めるクイーンSは28日の15時35分に発走を迎える。