12日→14日順延【クラスターC(G3)展望】武豊とC.ルメール期待の「新星」が世界のドンフランキーに待った!? 大本命を下して連勝を重ねるのは…
真夏の盛岡にトップスプリンターが集結!
14日、盛岡競馬場で第29回クラスターC(G3、ダート1200m)が開催される。当初は12日開催の予定だったが、台風5号の影響が懸念された結果、岩手県競馬組合が14日に順延することを発表した。
今年の中心は、昨年の2着馬ドンフランキー(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)だ。
昨年は京都グランドオープン(OP)、プロキオンS(G3)を連勝しての参戦。それでも2番人気に甘んじて2着に敗れたのは、単勝1.6倍の大本命に応えたリメイクがいたからだ。
リメイクはその後、韓国のコリアスプリント(G3)で海外初勝利を挙げると、秋のJBCスプリント(G1)でもJRA勢最先着となる2着。今年もサウジアラビアのリヤドダートスプリント(G3)を勝つなど、今や世界を股にかける超一流スプリンターに成長した。
だがドンフランキーは、そんなライバルに負けない成長を見せている。クラスターCで2着に敗れたものの、秋には東京盃(G2)を制覇。その後、左橈骨遠位端骨折に見舞われ年内は休養、さらに年明けのフェブラリーS(G1)でも距離が長すぎて惨敗を喫したが、確かな進化を示したのが今春のドバイゴールデンシャヒーン(G1)だった。
ライバルのリメイクも参戦した世界の頂上決戦。ドンフランキーは果敢にハナに立って自分の形に持ち込むと粘りに粘った。最後は勝ったタズにこそ千切られたものの、後続を封じて2着を確保。自身の逃げの競馬が世界トップクラスであることを証明している。
この結果を受け、陣営は今秋の米ブリーダーズCスプリント(G1)参戦を計画している。壮行レースとなるであろう今回はリメイクも不在。しっかりと勝って、再び世界へ打って出たい。鞍上は主戦の池添謙一騎手。
そんなドンフランキーに待ったをかけるのが、勢いのある上がり馬2頭だ。
現在3連勝中のコスタノヴァ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)は、今回が初の重賞挑戦に加え、初の1200m出走となるが、そんな不安を感じさせない逸材だ。デビュー戦こそ芝に対応できずに11着に敗れたが、ダートへ転向した2戦目以降は6戦5勝2着1回のパーフェクトと、まだ底を見せていない。
今回が初の1200mになるが、主戦のC.ルメール騎手は「ムキムキの体だからスプリントが合っている」と、その適性に太鼓判。距離短縮はむしろ、さらなるパフォーマンスを引き出すかもしれない。課題のスタートを決めることができれば、秋の大舞台も見えてくるはずだ。
現在2連勝中のジレトール(牡5歳、栗東・松永幹夫厩舎)も負けず劣らずの逸材だ。
コスタノヴァが初の1200mなら、こちらは一足早く1200mで開花した。デビューから長く1400mを中心に使われていたが、オープンクラスでやや頭打ち気味だったジレトール。そこで陣営は一度、芝を試してから今年4月の京葉S(L)で初の1200m戦へ。もともと気性面に課題のあった馬だが、距離短縮がハマっていきなり3着に好走した。
これで手応えを得たジレトールは、ここから天王山S(OP)、松風月S(OP)と1200m戦を連勝。満を持してキャリア2度目の重賞挑戦を迎えている。母のサンビスタは牝馬ながらに2015年のチャンピオンズCを制した名牝。当時6歳だったことを考慮すれば、息子が5歳夏を迎えて本格化し始めたことにも頷ける。武豊騎手を鞍上に迎え、ここで一気に重賞の壁を突破したい。
他には今春の東京スプリント(G3)で2着に好走したクロジシジョー(牡5歳、栗東・岡田稲男厩舎)、昨年の北海道スプリントC(G3)勝ち馬のケイアイドリー(牡7歳、栗東・村山明厩舎)など、やはりJRA勢が中心か。地方勢は地元のキモンリッキー、ビクトリールーラーに加え、北海道のスペシャルエックス辺りがどこまで食い込めるかが焦点になるだろう。
台風の影響で順延となった今年のクラスターCは14日の17時5分の発走予定だ。