【札幌2歳S(G3)展望】ソダシ超えレコードの大物キングスコールが断然か
31日、札幌競馬場では出世レースの札幌2歳S(G3)が行われる。早期の中距離重賞ということもあって、毎年のように来年のクラシックを見据える若駒が集結。近5年の勝ち馬にもジオグリフ(皐月賞)、ソダシ(桜花賞など)などが名を連ねる必見のレースだ。
スケールでは、キングスコール(牡2歳、栗東・矢作芳人厩舎)が際立っている。
2着テリオスララを3馬身ちぎったデビュー戦(札幌・芝1800m)の内容も然ることながら、勝ち時計1:47.8は2歳コースレコード。ちなみにこれまでのレコードは、ソダシが札幌2歳Sで叩き出した1:48.2だった。つまり、デビュー戦の走りを再現できれば、ここも問題なく突破できるということになる。
だが、そう簡単に行かないのが競馬の難しいところ。実際に、キングスコールはデビュー戦のパドックで放馬してしまうほどの気性難。このもろ刃の剣には矢作調教師も「ご覧の気性なので」と頭を抱えている。今回も最大のライバルは自分自身ということになるかもしれない。
一方、実績面ではアスクシュタイン(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)に一日の長がある。
2着馬に1馬身半差をつけて逃げ切ったデビュー戦も好内容だったが、アスクシュタインが真価を発揮したのは2戦目となった前走のコスモス賞(OP)だ。
今回と同じ札幌・芝1800mのレースで、デビュー戦同様ハナをきったアスクシュタインは力強く隊列を牽引。3コーナー辺りからペースを上げたが、後続はついていくのがやっとといった印象で、最後の直線は2着ゴーゴータカシを7馬身突き放す独走だった。この走りには北村友一騎手も「力が違った」と大きな手応え。同舞台で行われる今回も当然、色気を持っているはずだ。
ただし、勝ち時計1:49.2はキングスコールのレコードよりも1秒以上遅い。競馬は時計がすべてではないが、どこまで時計を詰められるかがカギになるかもしれない。
マテンロウサン(牡2歳、栗東・昆貢厩舎)もチャンスのある1頭だ。
デビュー戦で、キングスコールと同じ札幌・芝1800mを快勝したマテンロウサン。勝ち時計1:49.3はアスクシュタインのコスモス賞より、さらに0.1秒遅いが、こちらは横山和生騎手が「内容にもこだわっていた」と振り返った通り、中団から早めに好位に取りつき、上がり3ハロン最速の末脚で差し切る味のある競馬だった。
キングスコール、アスクシュタインが前に行く馬だけに、2頭がやり合えば必然的に出番が回ってくる。デビュー戦で後手を踏んだスタートさえスムーズなら、勝ち負けのチャンスはあるはずだ。
もう1頭、ショウナンマクベス(牡2歳、美浦・武市康男厩舎)の名を挙げておきたい。
東京・芝1600mを勝ち上がったデビュー戦は特に際立ったものがなかったが、手応えそのものは半馬身差という着差以上に楽だった。特筆すべきは鞍上の岩田康誠騎手の存在で、今夏は函館記念(G3)をホウオウビスケッツで、札幌記念(G2)をノースブリッジでそれぞれ勝利するなど、北海道の重賞で大暴れしている。
2頭に共通するのは、2番手から逃げ馬を競り落としての粘り込み。マイルのデビュー戦でハナに立ったショウナンマクベスなら番手は取れるはず。キングスコールやアスクシュタインといった有力馬が逃げるなら、良い目標になるはずだ。
他にも函館・芝1800mのデビュー戦を出遅れながらも差し切ったマジックサンズ(牡2歳、栗東・須貝尚介厩舎)、福島・芝1800mのデビュー戦を3馬身差で快勝したホウオウガイア(牝2歳、美浦・大竹正博厩舎)、札幌・芝1800mのデビュー戦を逃げ切ったアルマヴェローチェ(牝2歳、栗東・上村洋行厩舎)、同コースのデビュー戦を制したファイアンクランツ(牡2歳、美浦・堀宣行厩舎)などは、距離にメドが立っている点が心強い。
ここで重賞初制覇を飾り、来年のクラシックへ大きく名乗りを上げるのはどの馬か。注目の札幌2歳Sは31日の15時25分に発走予定だ。