永島まなみ「率直な気持ちは悔しい」武豊に無情の乗り替わり…G1初騎乗から1年。単勝170.6倍の16番人気5着好走に確かな手応え
8日、京都競馬場で行われた2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルF(G1)は5番人気のアルマヴェローチェが勝利。最後の直線では大外から豪快に追い込んで、ライバルたちを一飲みにした。
「6年間ずっと悔しい思いをしてきたので、やっと勝てて嬉しいです」
そう喜びを爆発させたのは、6年目の岩田望来騎手だ。名手・岩田康誠騎手の息子として、新人王に輝くなど若手を代表する騎手だがG1ではこれまで2度の2着が最高成績。今回、その壁を見事に打ち破って見せた。
その一方で、敗れはしたものの確かな存在感を示したのが4年目の永島まなみ騎手だ。
永島騎手が騎乗した16番人気のスリールミニョン(牝2歳、栗東・高橋康之厩舎)は、道中はほぼ最後方からじっくり脚を溜めると、最後の直線で末脚が爆発。勝ち負けに加わることはできなかったが、3番人気コートアリシアンをアタマ差交わして掲示板を確保した。G1・5着はJRA所属の女性騎手として、藤田菜七子騎手(2019年のフェブラリーS)に並ぶ最高着順だ。
芝1200mのデビュー戦を快勝するも、1600mに距離を延長した2戦目の新潟2歳S(G3)では伸びを欠いての7着。レース後、永島騎手が「距離延長で力む面があった」と指摘した通り、折り合い面に課題のあったスリールミニョン。
その後、永島騎手の「1400mくらいまでが良さそう」という見解もあって、1400mのききょうS(OP)に進んで勝利。だが、前走のファンタジーS(G3)で再び力む面を見せてしまい6着。単勝170.6倍という今回の評価は仕方ない面もあったが、確かな成長を示した。
「レース後に永島騎手も『助手さんが折り合いがつくように調整してくださったの繋がった』と話していましたが、今回の好走は永島騎手も含めた陣営の努力の賜物だと思います。
デビュー当初は若さを見せていたスリールミニョンですが、ここに来て高橋調教師が『女王様からお嬢さんになった感じ』と気性面の成長に確かな手応えを感じていた様子。マイル戦にメドが立ったことは、来年に向けても明るい材料だと思います」(競馬記者)
レース後「今後はポジションを取った中でも折り合って運べるようになれば」と来年の桜花賞(G1)を見据えた永島騎手。
実はG1初騎乗となったのが、スウィープフィートと挑んだ昨年の阪神JFだった。7着に善戦したものの、桜花賞出走へ勝負駆けとなった次走のエルフィンS(L)で2着に惜敗。その後、武豊騎手に乗り替わるとチューリップ賞(G2)を制覇して桜花賞でも4着に好走。永島騎手が「一番率直な気持ちは悔しい」と振り返る、ほろ苦い結果となってしまった。
あれから1年。フランス語で「かわいい笑顔」という意味のスリールミニョンは、永島騎手が自ら命名した馬だ。本人が「『もっと頑張らないと』と思わせてもらえる機会」というスウィープフィートの思い出を糧に、来年こそ相棒とクラシックへたどり着きたい。