M.デムーロ騎手がキセキの「凱旋門賞挑戦」提案! 史上”最弱”凱旋門賞2着馬との「共通点」にある世界統一の可能性
なお、キセキが菊花賞で記録した上がり3ハロンは、メンバー最速の39.6秒。他のライバルは軒並み40秒を超えている。33秒台の末脚が当たり前のように出現する今の競馬で、これだけ上がりが掛かる状況は「数年に一度」といったレベルの珍事だった。
しかし、この「上がり3ハロン40秒」を見て思い出されるレースがある。2009年の日本ダービーだ。
ロジユニヴァースが世代の頂点に立ったこのレースも、出走馬が軒並み上がり3ハロン40秒を記録する極めて異例のレースだった。レース内容そのものは道中3番手を進んだロジユニヴァースと2番手にいたリーチザクラウンが、そのまま”行った行った”でゴールする何とも味気のないものだったが、その中で一頭だけ怒涛の如く追い込んだ馬がいた。
上がり最速の39.0秒を記録しながらも、4着に敗れたナカヤマフェスタである。
スタートで後手を踏み、後方からの競馬を余儀なくされたナカヤマフェスタだったが、前が止まらない絶望的な展開の中、最後の直線で末脚が爆発。当時は9番人気の伏兵が4着とさほど目立った結果ではなかったが、古馬になってから素質が開花した。
稍重の宝塚記念でG1初制覇を飾ると、秋にはフランス遠征を敢行し、凱旋門賞で勝ったワークフォースと頭差の接戦を演じている。
これまで凱旋門賞で2着になった日本馬は、今でも「史上最強馬」の候補に挙げられるエルコンドルパサーと3冠馬のオルフェーヴル(2度)であり、G1・1勝に終わったナカヤマフェスタは、どうしても一枚落ちる”異質”の存在だ。