ダノンプレミアムVSワグネリアンの牙城を崩す”有望株”続々「超ハイレベル」牡馬クラシック路線の「鍵」を握るのは意外にも……
ここまで5戦3勝とはいえ、本馬を負かしたのは阪神JFで1番人気だったロックディスタウンと、京都2歳S(G3)でアタマ差の接戦を演じたグレイル(栗東・野中賢二厩舎)の2頭しかいないことも、また事実。デイリー杯2歳S(G2)の勝ち馬ジャンダルム(栗東・池江泰寿厩舎)に1馬身1/4差をつけて1番人気に応えたホープフルSの内容も、当然評価されるべきだろう。
ただ、先述した2頭に比べるとスケールで見劣りする点があることは否めない。ホープフルSを後方から、まくり気味に差し切ったことで競馬ぶりに幅が出たのは大きいが、現状ではどうしても末脚勝負になった際に不安が残る。
皐月賞、日本ダービーと順当に行けば高速馬場で開催される可能性は高く、如何に末脚勝負に持ち込ませないかが、もう1頭の2歳王者の大きなテーマになりそうだ。
オブセッション(美浦・藤沢和雄厩舎)
血統:ディープインパクト×Smoke Glacken(母父)
戦績:2戦2勝
主な勝ち鞍:シクラメン賞(500万下)
ここでようやく関東馬の登場となるが、本馬がその実力の片鱗を示したのは阪神外回り1800mで行われたシクラメン賞だった。スタートで後手を踏みながらも、最後はほぼ馬なりで4馬身差の圧勝。上がり3ハロン33.5秒は第2位に0.9秒差をつける、まさに「異次元」の末脚だった。
ただ、単純な末脚のキレであれば、昨年のサトノアーサーが記録した32.7秒の方が、遥かにインパクトがある。その後、サトノアーサーはきさらぎ賞(G3)や毎日杯(G3)で、いずれも単勝1.5倍以下の圧倒的な人気を集めるも勝利ならず。クラシックの厚い壁に跳ね返された。
そういった点で、まだ重賞実績のない本馬には一抹の不安がある。しかし、それを補って余りあるのが時計面での裏付けだ。上がりの速さこそサトノアーサーに譲ったが、勝ち時計はあちらが1:50.8に対して、こちらは1:45.6 。2歳戦特有の緩い流れからの瞬発力勝負でなかったことにサトノアーサーとは異なった価値がある。
また、1:45.6は2014年の皐月賞馬イスラボニータが、東京スポーツ杯2歳Sで記録した2歳レコードを0.3秒更新するもの。昨年の皐月賞馬アルアインは3歳春(毎日杯)で同じコースを走り1:45.5で快勝している。まだスタートでダッシュがつかず、他馬を怖がるなど課題も見受けられるものの、潜在能力は相当高いレベルにあると見て良いだろう。