【徹底考察】宝塚記念(G1) アンビシャス「初タイトルに機は熟した!『前』か『後ろ』か天才・横山典弘の決断に迫る」
【血統診断】
近親の活躍馬はオークス(G1)4着のニシノアカツキ程度だが、ディープインパクト×エルコンドルパサーの配合となると、昨年エリザベス女王杯(G1)を制し、この宝塚記念でもライバルとなるマリアライトがいる。
母系にはダート王ヴァーミリアンや菊花賞馬ソングオブウインドを輩出したエルコンドルパサー、サクラローレルを送り込んだレインボウクエスト、ネオユニヴァースの母父にあたるクリスと、欧州寄りの重厚な血が流れている。そのため、距離に限界のあるディープインパクト産駒であっても十分なスタミナがあるはずだ。現在は気性面の都合で1800mや2000mで実績を残しているが、折り合いで進境を見せれば2400m以上の距離での活躍も見込める血統背景である。
≪結論≫
キタサンブラック以外にこれといった逃げ馬がいない以上、今回もまたスローペースは必至だ。一見、激しい流れがイメージされやすい宝塚記念だが、これといった逃げ馬が不在だったここ2年は1000mの通過が「62.4秒」「62.5秒」と、今年の大阪杯よりもさらに遅いペースで流れている。およそ「G1らしくない」といえる超スローペースだ。
これはスタート地点から最初のコーナーまでに直線を丸々走る、阪神2200mというコース設定だからこそ起きる現象である。つまり、最初のコーナーまでに距離が十分にあるため内外の不利有利が発生し辛く、激しいポジション争いが起きにくいのだ。無論、前に行く馬が揃っている場合は、その限りではないが、行く馬がいない場合はどうしても極端にペースが落ち着く傾向にある。
そうなってくると、今年も昨年一昨年のような超スローペースに落ち着く可能性も決して低くはない。そして、仮にキタサンブラックに1000mの通過が62台という逃げを許せば、後方集団に出番がなくなることは大阪杯で証明されている。ましてや、今回は18頭のフルゲート、後方からの競馬はますますリスキーになる。
従って、アンビシャスが好走するためには、いや、ここで初タイトルを掴むためには、やはり大阪杯のような積極的な競馬が望ましいように感じる。だが、それを行う上で本馬にとって最大の課題がゲートだ。
はっきりいって、アンビシャスはスタートが下手な馬である。6走前のプリンシパルSで出遅れ、4走前の毎日王冠でも出遅れ、2走前の中山記念でも出遅れている。つまり隔レースごとに出遅れており、オカルト的には今回は出遅れる番である。
それから、最後にもう一点。トップクラスと互角に戦ったここ2走、ドゥラメンテとキタサンブラックとは斤量面で2kg有利だった。アンビシャスの前走の馬体重は468㎏。父ディープインパクトほどではないが、小柄な部類に入るだけに斤量面の影響は小さくない可能性がある。斤量差が詰まることもあるが、それ以上に初の58㎏の影響が心配だ。
(監修=下田照雄(栗東担当))