JRAを席巻モレイラ帰国「複勝率87.0%」衝撃の1カ月。合格確定?のJRA試験に競馬界の大御所から苦言も……
まさに惚れ惚れするような成績と言えよう。仮にこの勝率を基準に1年間(2017年の戸崎圭太の騎乗数927回)で集計してみると、年間勝利数は380勝を超え、全盛期の武豊が記録した212勝を圧倒する衝撃の成績となってしまう。
しかしモレイラにも弱点というか苦手なコースがあるようだ。意外にも東京競馬場の芝コースは通算で[2.3.0.11]と9戦して未勝利。直線の長いコースが苦手なのか、左回りが不得手なのか、小回り平坦コース向きなのか、それとも別の理由があるのか、JRA試験の合格を考慮すると、今後の馬券戦略のためにもしっかり精査していくべきだろう。
短期免許も終了し、次はJRA試験となるが、その展望はどうだろうか。関係者によるとモレイラの性格について
「真摯な性格で急激に日本語も吸収していますよ。今後も語学学校に通い、通年免許取得に向けて万全を期すようです」
とのことで、かなり気合が入っているようだ。肝心の騎乗技術に関してはまったく問題がなく、あとは日本語の習得のみと言えるだろう。この騎手試験に関しては、競馬評論家の大御所である柏木集保氏が自身の担当するコラムでJRAの試験制度に触れ、『歴史的な恥はかきたくない』と発言するなど、周囲を巻き込んでいる。
確かに海外の競馬で騎手となるのに、国際共通語の英語ではなく自国の言語を理解できるかを焦点とするのは違和感を感じる。しかしJRAは公正競馬の厳守に力を入れており、日本語の取得は外部からモレイラを守るための効果もあるといえよう。
とはいえ、モレイラ見たさに競馬場へ行くというファンも少なくないだろうし、JRAが腕のある、客を呼べる騎手を言語を理由に試験で落とすのはナンセンスという声が多く上がったこともある様子。そういった状況から、JRA側もモレイラの試験に対する姿勢を軟化しているようで、もはや合格は間違いないといった風潮があるという。
さらに追い風なのは、JRA試験に合格した際の所属を「関東」にすると決めたのも、JRA側の評価を得たという。というのもルメールやデムーロが関西所属であり、仮にモレイラが関西所属となった場合、関西騎手の騎乗がさらに減少するというのが分かっているからだ。JRAとしても、東西騎手の格差が広まることは避けたい。関東に所属するなら東西騎手のバランスも取れ、さらに戸崎圭太騎手などの不調もあるため、スター騎手不在の関東に所属するのは好都合といった考えもあるようだ。
仮にJRA試験に合格した場合、ノーザンファームをバックに美浦の堀厩舎を拠点に活動し、エージェントは通訳のアダムが就くと予想されている。そしてモレイラが関東にやってきた場合、関東の騎手達にどんな影響を与えるだろうか。