JRA7年連続売上増でウハウハ!絶好調も今後は「マイナス要素の嵐」で不安大
JRA(日本中央競馬会)が発表した2018年の売得金額は、前年比101.7%の2兆7950億830万4000円となり、なんと7年連続で前年比アップだ。アベノミクスの効果なのか、日本の好景気に引っ張られたのか、それとも競馬人気の本格的な回復なのか定かではないが、競馬関係者としてはホッとしたところだろう。この勢いで2019年も8年連続の売上増を見込みたいところだが、今年はあまり楽観視できないという声がある。
2018年のJRA年間売得金額は2兆7950億830万4000円で前年比101.7%(プラス473億4581万9200円)。しかし2017年が2兆7476億6248万4800円の前年比102.9%(プラス767億8222万3200円)だったことを考えると、伸び率は大幅に下がっている。前年比は2014年の103.7%をピークに103.6%→103.4%→102.9%→101.7%と下がっており、これはかなり深刻な数字ではないだろうか。そして2019年はさらなる下降が予想される。
その要因の一つはあるレースの存在だ。2018年は11月にJBCとして3つのG1級レースが初めてJRAで開催された。もともとJBCは毎年開催地を変える、地方競馬を盛り上げるためのイベントだが、2018年は史上初の試みとしてJRAで実施。その理由は「JBCを広く知ってもらうこと」「関西圏で開催すること」といったものだ。確かにJBCは競馬ファンに定着した印象はあるが、開催が競馬場の規模の問題で関東圏に偏っているため(過去18回で南関11回、盛岡2回)、どうしても関西方面のファンには馴染みが薄。関東と異なり関西の地方競馬場は、JBCを開催するのに適した場所が少なく、集客力のある京都競馬場を利用。そこでJRAを通じてJBCを知ってもらい、来年以降にも興味を持ってもらいたいという趣旨があったという。
その結果JRAで行なわれた3つのJBC競走は、合計157億3086万8600円という馬券売上を記録、2017年が39億5251万2800円だったから大幅な記録更新だ。これは喜ばしい数字だが、来年のJBCは浦和競馬場で行われるため、今年は丸々この157億円がJRAの売上から消える計算となるのだ。
JBCが開催されたおかげで中止となったみやこS(G3)、JBCの影響で馬券売上が前年比55%にまで落ち込んだアルゼンチン共和国杯(G2)が、JBC3レースの穴をどれだけ埋められるかが、鍵となるだろう。ちなみにこの2レースの2017年売上は合計93億6222万4200円。2018年のJBC3レースとの差額は63億6864万4400円となる。JBCの売上がプラスされても、伸び率は前年を下回っているというのは深刻な問題だ。