【徹底考察】神戸新聞杯(G2) エアスピネル「宿敵サトノダイヤモンドに完敗した日本ダービーと同じ2400m。それでも武豊が『正攻法』で挑むであろう理由とは」


日本ダービー・ラスト1000m(5ハロン)比較
2016年 11.8 – 12.0 – 11.6 – [11.0] – 11.6 計58.0秒 マカヒキ
2015年 12.4 – 12.4 – 11.9 – [11.0] – 11.7 計59.4秒 ドゥラメンテ
2014年 13.6 – 12.2 – 11.6 – [11.1] – 11.7 計60.2秒 ワンアンドオンリー
2013年 12.3 – 11.9 – 11.6 – [11.7] – 11.9 計59.4秒 キズナ
2012年 12.4 – 12.3 – 11.7 – [12.0] – 12.4 計60.8秒 ディープブリランテ
2010年 12.9 – 12.4 – 11.3 – [10.8] – 11.3 計58.7秒 エイシンフラッシュ
※2011年オルフェーヴルは不良馬場のため参考外

 上記を比較して明確なことは、今年の日本ダービーのラスト1000mは近年の中でも断トツで速いということだ。先述した通り、ダービーレコードを叩きだした昨年のドゥラメンテよりも全体時計で0.8秒遅いにもかかわらず、ラスト1000mでは今年の方が1.4秒も速い。

 ここから導き出されるのは、今年のダービーがラスト1000mという長い距離において、例年を遥かに上回る「底力」が要求されたということだ。

 それがどれだけハイレベルなのかは、上記の中でも2016年を除いた「残り1000~600mの2ハロンの合計」と「残り400m~200mのタイム」を比較すればわかりやすい。

 2016年を除いて「残り1000~600mの2ハロンの合計」が最も速かったのは2013年の「24.2秒」、次いで 2012年「24.7秒」だ。だが、その反面「残り400m~200mのタイム」で大きく遅いのが、その2年である。

 何故、このような傾向が起こるのか。それは単純に「残り1000mからのロングスパートを強いられた先行勢の脚が止まるから」だ。

 逆に言えば「残り1000~600mの2ハロンの合計」が遅い場合は、先行勢にも脚が溜まっており、いわゆる「直線だけのヨーイドンの競馬」になりやすいということだ。レースそのものの上がり3ハロンが33.4秒という、究極の上がり勝負となった2010年などがその典型だろう。

 しかし、そんな”競馬の常識”を覆しているのが、今年の日本ダービーだった。

 先述した「残り1000~600mの2ハロンの合計」は、上記した6年で最速。にもかかわらず「残り400m~200mのタイム」は究極の上がり勝負となった2010年には0.1秒及ばないものの、レコード決着した昨年と並んで全体2位である。

 何故、このようなことが起きるのかは述べるまでもなく、レースに参加している馬たちのレベルが高いからだ。特に先団でペースを作り、厳しいレースを強いられる先行勢には「究極的に高いレベル」が要求されたはずだ。

 その上で、今年の日本ダービーの全着順を改めて振り返ってみると、実は全18頭の上半分、つまりは上位9着以内に入線した馬で「4コーナーを1ケタ」の番手で通過している馬は、わずか3頭しかいない。

 その3頭とは、勝ったマカヒキ(8番手)と2着のサトノダイヤモンド(7番手)、そして4着だったエアスピネル(5番手)だ。

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