【徹底考察】天皇賞・秋(G1) ルージュバック「戴冠へ機は熟したのか……目下の充実ぶりは出走馬No.1も『臨戦過程』に大きな落とし穴?」
『考察』
まさに本格化。この充実ぶりは、そう述べて良いだろう。モーリスやエイシンヒカリを始め、今年も強豪がそろった天皇賞・秋(G1)。だが、勢いは重賞連勝中のルージュバックが一番だ。
3歳の頃から桜花賞(G1)で単勝1.6倍の1番人気に推されるなど「大器」といわれていた本馬だが、どこか勝ち切れないイメージだった。
ところがここ2走のエプソムC(G3)、毎日王冠(G2)の連勝劇は、これまで勝ち切れなった本馬のイメージを大きく覆したもの。大器がついに本格化したということだろうか。
実際に、シュンドルボンに脚をすくわれた今年3月の中山牝馬S(G3)や、5着に敗れたヴィクトリアマイル(G1)までは、非凡な能力を秘めているものの「勝ち切るには何かが足りない」といった存在だった。
特にその「壁」を如実に感じたのがヴィクトリアマイルだ。1000m通過が57.2秒というハイペースの中、中団から鋭い末脚を繰り出したが5着。
底力が問われる厳しいペースで、前にいたスマートレイアーを交わせないばかりか、後ろからストレイトガール、ミッキークイーン、ショウナンパンドラという「G1級」の牝馬に差される姿は、あまりに”順当”でこの馬が持つ限界を強く感じさせた。
しかし、C.ルメール騎手から主戦の戸崎圭太騎手に戻ったエプソムCの走りは、まさに2歳や3歳の頃にG1を強烈に意識させられた頃のような圧巻の走りだった。
スタートからすぐにコーナーへ突入する東京1800mでは「不利」といわれる大外の18番枠からスタートしたルージュバック。やや立ち遅れ気味のスタートだったが、すぐに持ち直して中団に押し上げている。この辺りは前走でマイルを使った強みが出たのかもしれない。