【徹底考察】ジャパンC(G1) シュヴァルグラン「悲願のG1初制覇に向け『時』は来た。完勝のアルゼンチン共和国杯で克服した『背景的なハンデ』とは」
案の定、1000mの通過は62.9秒。典型的なスローペースから第4コーナーから最後の直線に入る勝負所まで大きな動きはなかった。
各馬が大きく横に広がって通過した残り400m。好位からロスなくコンディションの良い馬場の真ん中に持ち出したシュヴァルグランのレース運びは完璧で、あとはここから弾けるだけだった。
だが、満を持して福永騎手がゴーサインを送ってもすぐに反応しなかったところは、やはり休み明けの影響だろう。先述した通り、本来使うはずだった京都大賞典をパスしたことからも、ここでのコンディションがまだ万全でなかったことは明らかだ。
しかし、外からヴォルシェーブが競り掛けてきたことで気持ちに火が付いたのか、この馬本来の末脚を発揮。迫りくるヴォルシェーブを難なく競り落とし、内から抜け出したモンドインテロを交わすと、最後は流してゴール。
着差こそ2着のアルバートとは半馬身差だったが、福永騎手が『netkeiba.com』内のコラムで「最大のテーマは、『次走に向けていかに疲れを残さず、なおかつ人気に恥じない競馬をするか』と綴っているように、初の東京コースの試走として満点に近い競馬だった。
【血統診断】
半妹ヴィブロスの秋華賞制覇で、ますますその血統的価値を高めた母ハルーワスウィート。クラシック3冠すべてを2着で走り抜き、古馬になってからもヴィクトリアマイルを連覇した半姉ヴィルシーナと半妹ヴィブロスとの共通点は、父がディープインパクトであることだ。
そんな姉妹に対して、本馬の父はサンデーサイレンス系の中でも特出した長距離実績馬を輩出し続けているハーツクライ。したがって、性別の違いも然ることながら、すでにG1馬となった姉妹との最大の違いは距離適性に尽きるだろう。