【徹底考察】ジャパンC(G1) シュヴァルグラン「悲願のG1初制覇に向け『時』は来た。完勝のアルゼンチン共和国杯で克服した『背景的なハンデ』とは」
しかし、実際のレース内容に関しては決して盤石とは言えないのかもしれない。
率直に述べて内容的には完勝だが、スローペースを読み切った福永騎手の判断が功を奏した部分もあり、反応が鈍いまま格下のヴォルシェーブに迫られ、最終的にアルバートに半馬身差という競馬は「ジャパンCを勝ち切る」という観点からは物足りない内容だ。
無論、最後は余裕があったし完勝劇に対して厳しい判断かもしれないが、実際にアルバートやヴォルシェーブが今年のジャパンCでどれだけ渡り合えるのかを考慮すれば、そう判断せざるを得ない。それほど、今年のメンバー構成はハイレベルだ。
だが、その一方でシュヴァルグランには、前走のアルゼンチン共和国杯で「初関東」「休み明け」「トップハンデ」以外にも、直接的には見えない「もう一つハンデ」があった。
ここ10年でアルゼンチン共和国杯を契機にG1ホースに登りつめた4頭は、2007年のアドマイヤジュピタ、2008年のスクリーンヒーロー、2010年のトーセンジョーダン、そして昨年のゴールドアクター。だが、その内、同年のジャパンCを制覇したのはスクリーンヒーローただ1頭だけである。
その事実に大きな問題はないのだが、危惧されるのはアルゼンチン共和国杯からジャパンCという中2週のローテーション。実際に昨年のゴールドアクターは状態面が整わずに、ジャパンCを回避して有馬記念に向かっている。さらに、過去に唯一連勝を成し遂げたスクリーンヒーローは関東馬。関西馬のシュヴァルグランとは異なり、中2週での連続遠征のリスクはなかったということだ。