JRAが主導する”大改革”で超一流ベテラン騎手が「騎乗馬なし」の異常……競馬界の水面下で今、一体「何」が起こっているのか?
エージェントの多くは同時に各スポーツ新聞や競馬新聞のトラックマン(主にトレセンで取材を行い、最終的に紙面に予想を掲載する記者)を兼業している者が多く、実に全体の8割程度が「兼業エージェント」だという。
無論、いきなり全面廃止というわけではなく、段階を踏んで「兼業エージェント」の減少化を進めていく方針だが、いずれにせよ兼業者は近い将来、トラックマンを続けるのか、それとも専業のエージェントになるのかの選択を迫られることになる。
「JRAがこれまで”野放し”にしていたエージェント制度にメスを入れる決断を下したのは、最大の顧客となる馬主から多くの批判があったからといわれています。騎手と馬主との間に、機械的に騎乗馬を選別するエージェントが入ったことによって以前の関係性が壊れてしまい、長年培っていた騎手との繋がりを失ってしまった馬主の方もいるようです。
エージェント制度の確立で、騎手は昔のように騎乗馬を求めて厩舎回りをする必要性が減少し、より騎乗技術に磨きをかける時間が取れるようになりました。そういったプラスの面もありますが、今や競馬サークル内で重要なポジションに就くエージェントが騎手や調教師とは別に、馬券を買えてしまうところも以前から問題視されていた点です」(競馬記者)
そういったJRAの方針を受け、現場の競馬関係者にも目に見えて大きな動きがあった。関東を代表するベテランの横山典騎手と、蛯名騎手がエージェントを解約したのだ。
すでにJRAのホームページ上でも横山典騎手と蛯名騎手の騎乗依頼仲介者は「空欄」になっており、契約を解除したことが見て取れる。おそらくは先駆けてJRAの方針に従うことで、他の後輩騎手への”示し”をつけた行動とみられている。