「G1初騎乗」今村聖奈は最下位デビュー、武豊のG1完全制覇はおあずけ…「246万」の大波乱に終わったホープフルSで「低レベル」浮き彫り

 28日、今年の中央競馬最後のG1となったホープフルSを制したのは、14番人気の超人気薄ドゥラエレーデ(牡2、栗東・池添学厩舎)だった。2着に7番人気トップナイフ、3着にも6番人気キングズレインの入った3連単の払戻は驚きの246万6010円。最後の最後に大波乱の結末が競馬ファンを待っていた。

 ホープフルSといえば、G1に昇格した2017年から昨年までの5年間で1番人気馬が4勝、2番人気馬が1勝していたように、比較的堅い傾向のレースだ。今年も戸崎圭太騎手が騎乗したミッキーカプチーノが1番人気に推され、福永祐一騎手が騎乗したファントムシーフが2番人気、過去の優勝馬の人気を考えれば、勝つならどちらかと予想していたファンも多かっただろう。

 しかし、ミッキーカプチーノが5着、ファントムシーフは4着と、2頭が揃って馬券圏外に敗れてしまった。いずれも道中でこれといって大きな不利もなかっただけに、残念な結果である。

 また、ここまで負け知らずの人気2頭が凡走した一方で、上位を独占した3頭すべてがデビュー戦を勝てなかった馬だ。今回については2戦2勝の素質馬2頭よりも、経験で上回った3頭に軍配が上がった格好となった。

 その一方で気になったのは、今年のレースレベルについての疑問だ。

ホープフルSで「低レベル」浮き彫りに…

 過去、ホープフルSを制してクラシックへ歩を進めた優勝馬たちに対し、今年の出走メンバーのスケール感が見劣りすることも事実。勝ちタイム2分1秒5は及第点といえるかもしれないが、結局のところ、スローペースを逃げたトップナイフと2番手のドゥラエレーデがハナ差で1着を争った前残り。かといって3番手につけていたミッキーカプチーノや最後の直線で6番手にいたファントムシーフも前を捕らえられるだけの射程圏にいたはずだ。

 にもかかわらず、上位2頭との差を詰めるどころか、後方から外を回したキングズレインにまで交わされてしまったのだから、力負けといわれても仕方がないだろう。これには元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「ホープフルSは評判馬たちがだらしなさすぎてレベルが読めない」とツイート。「先々計算できそうなのはキングズレインくらいやった」と困惑気味だった。

 ホープフルSで人気を集めた馬が凡走したことにより、3連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を制したドルチェモアに期待したいところだが、こちらはこちらで牝馬の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)の勝ちタイム1分33秒1より0秒8も遅かった1分33秒9での勝利でしかない。

 有馬記念(G1)を圧勝したイクイノックスを筆頭に、現3歳世代のレベルの高さが証明されているが、2歳世代については早くも暗雲が漂いはじめた。低レベル疑惑のレース結果だけでなく、初G1騎乗となった今村聖奈騎手の最下位はともかく、期待された武豊騎手のG1完全制覇もお預けと、これといった印象の残らなかった今年のラストG1であった。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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