JRA「第2」の金子真人、藤田晋!? 朝日杯FS&ホープフルS「ダブル制覇」ドルチェモア、ドゥラエレーデを誇るあの新興馬主に注目
先週、2022年度JRA賞における調教師・騎手部門の受賞者が発表され、念願のリーディングジョッキーに輝いた川田将雅騎手や、3年連続5度目のリーディングトレーナーとなった矢作芳人調教師などが表彰を受けた。
生産牧場リーディングではノーザンファームが貫録の首位。これで12年連続と、もはや話題にすら上らない絶対王者だ。また、リーディングオーナーでも1位サンデーレーシング、2位シルクレーシング、3位キャロットファームとノーザン系一口馬主クラブが上位を占めるお馴染みの結果。
今年はまだ始まったばかりだが、この“ノーザンファーム王朝”が陥落することがないことだけは関係者のみならず競馬ファンにとっても共通見解だろう。
そんな中、昨年のリーディングオーナーで大きく飛躍したのが、6シーズン目となったスリーエイチレーシングだ。
「偶然が重なり合った奇跡のようですし、すごい巡り合わせ」
昨年末、代表の橋本征道オーナーが驚きを隠せなかったのも当然か。現在、阪神ジュベナイルフィリーズ、朝日杯フューチュリティS、ホープフルSという3つの2歳G1が行われているが、その内の2つを制したのがスリーエイチレーシングである。
朝日杯FSを勝ったドルチェモアこそ1番人気だったが、ホープフルSのドゥラエレーデは14番人気の大穴だった。ちなみにこの世代のスリーエイチレーシングの所有馬は、わずか8頭。ここ数年の看板だったシャドウディーヴァが引退してしまったが、新たな看板候補が2頭も現れたのだから、勢いを感じないわけにはいかないだろう。
「昨年はリーディングオーナー21位でしたが、出走頭数31頭を鑑みれば大健闘といえる結果。同20頭の新興馬主として昨年の競馬を沸かせた藤田晋オーナーでさえ71位という結果を見れば、昨年のスリーエイチレーシングの充実ぶりはわかると思います。
また、ドルチェモアとドゥラエレーデというG1馬が出たスリーエイチレーシングですが、2頭ともまだ明け3歳と、これからますます活躍が期待できる存在。少数精鋭のリーディング常連オーナーといえば、金子真人さんやダノックスが有名ですが、今年はそういった大物馬主にどこまで迫れるかも注目ですね」(競馬記者)
そこで気になるのは、今年デビューが控えているスリーエイチレーシングの所有馬だろう。現在のところ6頭が登録済と今年も少数精鋭が予想されるが、前出の記者が推すのは安田隆行厩舎の入厩が予定されるアキミューミュー(牝2歳、栗東)だ。
「ドルチェモアや現在3勝クラスで好走を続けているノースザワールドなど、スリーエイチレーシングは下河辺牧場との結びつきが強いのが特徴です。実際に大成功だった昨年の2歳馬8頭の内、5頭が下河辺牧場生産馬でした。
しかし、その一方でドゥラエレーデだけでなく、シャドウディーヴァや京成杯(G3)を勝ったグラティアスもノーザンファームの生産馬。やはりアベレージは非常に高く、昨年2歳の8頭でもノーザンファーム産はドゥラエレーデだけでした。
その点を踏まえると、今年の6頭でノーザンファーム産なのはピストンボーイとアキミューミューの2頭だけ。後者を推したのは、前者よりも血統背景がしっかりしているからです」(同)
実際に、わずか8頭の中から2頭のG1馬が出た昨年の2歳馬だが、ドルチェモアは2013年の桜花賞馬アユサンの息子。ホープフルSでは14番人気の大穴だったドゥラエレーデも叔父にサトノダイヤモンドがいる血統的な期待値の高い良血馬だった。
その点、アキミューミューの母アイスドールは活躍馬を多数送り出しているトゥザヴィクトリーの一族。兄には一昨年のJBC2歳優駿(G3)を勝ったアイスジャイアントがおり、父がまだ底が見えていないサトノクラウンという点も面白い。
果たして、今年もあの独特なピンクの勝負服が大舞台を賑わすのだろうか。アキミューミューに限らず、スリーエイチレーシングの新たな大物の登場にも期待したい。