オジュウチョウサンにあって、ニシノデイジーになかったもの…JRA賞敗戦に西山茂行オーナーも落胆、新旧王者2頭に「暗黙ルール」が適用されなかった背景

イクイノックス 撮影:Ruriko.I

 10日、JRAは2022年度JRA賞競走馬部門の受賞馬を発表。各部門の受賞馬は、以下の通りとなった。

■2022年度JRA賞(部門別)

年度代表馬 イクイノックス
最優秀2歳牡馬 ドルチェモア
最優秀2歳牝馬 リバティアイランド
最優秀3歳牡馬 イクイノックス
最優秀3歳牝馬 スターズオンアース
最優秀4歳以上牡馬 タイトルホルダー
最優秀4歳以上牝馬 ジェラルディーナ
最優秀短距離馬 セリフォス
最優秀ダートホース カフェファラオ
最優秀障害馬 オジュウチョウサン

 堂々の年度代表馬に輝いたのはイクイノックス。春こそ皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)でいずれも2着に敗れたものの、秋は古馬相手の天皇賞・秋(G1)と有馬記念(G1)を連勝。天皇賞・春(G1)と宝塚記念(G1)を優勝したタイトルホルダーも遜色ない実績を残していたものの、2頭が直接対決した有馬記念をイクイノックスが制したことが勝敗の決め手となったようだ。

 過去の選出例を振り返ってみても、上半期と下半期では後者の評価が上回る傾向が強い。秋のG1を制したセリフォス(マイルCS)やジェラルディーナ(エリザベス女王杯)が各部門で選ばれたのも、下半期の活躍を踏まえてのことだろう。

新旧王者2頭に「暗黙ルール」が適用されなかった背景

ニシノデイジー

 しかし、「上半期より下半期の成績」「直接対決の勝者」が優勢な“暗黙のルール”が適用されなかったように感じられたのは、オジュウチョウサンが選出された最優秀障害馬の部門だ。こちらについては下半期に中山大障害(G1)を制したニシノデイジーではなく、上半期の中山グランドジャンプ(G1)を制したオジュウチョウサンが選出されている。

 それに加え、ニシノデイジーは上記で挙げたイクイノックスとタイトルホルダーのように、直接対決となった中山大障害でオジュウチョウサンを負かしている。他部門の傾向を考えれば、ニシノデイジーに軍配が上がっても不思議ではない。

「票数で言えばオジュウチョウサンが138票、ニシノデイジーが137票と僅か1票差の大接戦だっただけに、ニシノデイジー陣営にとっては残念な結果となりました。投票権を持つ記者にとっても、苦渋の決断だったのではないでしょうか。

それでもオジュウチョウサンが選出されたのは、これまでの功績に対するリスペクトがあったからでしょう。2016年の中山グランドジャンプで障害G1初勝利を挙げて以降、7年連続で障害G1を制覇など輝かしい実績があります。一時はファン投票に応え有馬記念に出走するなど、競馬界を大いに盛り上げてくれました。

ラストランとなった昨年の中山大障害でニシノデイジーに敗れはしましたが、アイドルホースの1頭としてぬいぐるみも発売された人気馬でもありました。おそらくは昨年のみの成績だけでなく、それまでの輝かしい成績や競馬界への貢献度も加味されたのでしょう」(競馬誌ライター)

 JRA賞の結果にニシノデイジーを所有する西山茂行オーナーが、自身のTwitterを通じて「残念としか言いようがない」と落胆のコメントを残したのは当然といえるが、昨年の障害転向で新たな素質を開花させたニシノデイジーが、今後の主役を担う可能性は高いだろう。

 次こそ満場一致の最優秀障害馬として選出されることを期待したい。

ハイキック熊田

ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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