藤田伸二氏「バイクでいえばハングオン状態」…日経新春杯(G2)で「稀代の癖馬」ステイゴールドを乗りこなした秘策とは

 今週日曜の中京メインは数少ないハンデG2の一つ、日経新春杯が行われる。

 このレースを通算3勝したのが2015年に現役を引退した元騎手の藤田伸二氏だ。

 デビュー4年目の1994年にムッシュシェクルで初勝利を飾ると、2年後の96年にハギノリアルキングで2勝目、そして2001年にはステイゴールドとのコンビで自身3勝目を挙げた。

 3頭のうち、ムッシュシェクルとハギノリアルキングは藤田氏のお手馬といえる存在だったが、生涯50戦をこなしたステイゴールドとはこれが唯一のコンビ。馬名に反して“シルバーコレクター”として知られた同馬を勝利に導いた陰にはある秘策があったという。

 藤田氏は自身の公式サイト『藤田伸二オフィシャルサイト』のコラム欄で当時の心境をこう記している。

「日経新春杯!一度か… 二度か…… わからんが勝ったことのあるレースだ!」と書き出した藤田氏。思い出に残る1頭としてステイゴールドの名前を挙げ、「いろんなジョッキーが乗った馬だが……口を揃えて言うのが…?『癖が強い⤴️‼︎』 」と、レースを迎えるにあたって、ステイゴールドの破天荒ぶりを多方面から耳にしていたことを明かした。

「稀代の癖馬」ステイゴールドを乗りこなした秘策とは

 その言葉通り、ステイゴールドは現役時代から“稀代の癖馬”として知られ、種牡馬になってからもオルフェーヴルやゴールドシップなど多くの産駒はやんちゃな一面をのぞかせた。

 そんな癖馬ステイゴールドと初コンビを組むにあたって、「ステイゴールドに真っ向から立ち向ってやろう!」と意気込む中で、事前に「レースで左にしか走ろうとしない」というアドバイスを陣営からもらったという。

 それを受けて「京都競馬場やし外へ外へモタレながら走る馬だろう?」と想像したという藤田氏は、「バイクで言えばハングオン状態で右周りの京都やし左のアブミを短く、右のアブミを長くってな感じでレースに挑んだ」と、対策としてアブミの左右の長さを調整してレースに臨んだことを打ち明けた。

 結果は好位3番手のインを進むと、直線で早めに抜け出し、最後は2着馬に1馬身1/4差をつけての快勝。前年5月の目黒記念(G2)勝利を最後に5戦連続で馬券圏外に敗れていたステイゴールドを復活勝利に導いた手綱さばきは見事というしかなかった。

 結局、藤田氏とステイゴールドのコンビはこの時が最初で最後となったが、次走のドバイシーマC(当時G2)は武豊騎手にバトンを繋ぎ、海外重賞初挑戦で優勝。さらに引退レースとなった同年12月の香港ヴァーズ(G1)で悲願のG1初制覇を飾り、競走生活に別れを告げた。

 2001年、ステイゴールドの現役ラストイヤーは藤田氏による秘策から生まれた完璧なエスコートが始まりだったことは、意外と知られていないかもしれない。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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