ハマの大魔神が「ポスト福永祐一」を指名!? ヴィブロス初仔の鞍上を託されたのは…
日曜中京の6R・3歳新馬(芝2000m)には楽しみなメンバーが集結した。
昨年の日本ダービー(G1)をドウデュースで制したキーファーズが送り込むのはキタサンブラック産駒のブラックヒル。調教での動きを見る限り本格化は先になりそうだが、鞍上に武豊騎手を配し、素材の良さだけでいきなりの好走があっても不思議はない。
牝馬のヴォレトンクールは調教の動きからいかにも初戦向き。父リアルスティール、母アイムユアーズという血統も魅力たっぷりだ。
他に昨年の青葉賞(G2)を勝ったプラダリアを兄に持つグランデサラスなども虎視眈々。しかし、そんな有力馬たちを退けて1番人気の支持を受けそうなのがヴィンセドリス(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
同馬の最大の魅力は何といってもその血統だろう。母は2016年の秋華賞(G1)と17年のドバイターフ(G1)を勝った名牝ヴィブロスで、19年のドバイターフで2着に敗れたのを最後に引退。繁殖入り1年目にロードカナロアと交配され、翌20年に誕生したのがこの馬だった。4月25日とやや遅生まれだったこともあって、3歳になってのデビュー戦を迎える。
父がロードカナロアだけに2000mの距離には一抹の不安もあるが、調教の動きは絶品。1週前の栗東CWで6ハロン82秒4-11秒7の切れ味を披露すると、最終追い切りは栗東坂路で54秒4-12秒4をマーク。時計は特筆すべき数字ではなかったが、併せた僚馬と馬体をぶつけ合いながら最後は楽々と先着し、勝負根性があるところを見せつけた。
そんなヴィンセドリスのオーナーはもちろん母も所有した「ハマの大魔神」こと元プロ野球選手の佐々木主浩氏。現3歳世代には同じく友道厩舎に所属し、大器と噂されたグランヴィノスがいるが、2戦目の京都2歳S(G3)でよもやの惨敗を喫し、クラシックに黄信号が灯っている。それだけに佐々木オーナーとしてはもう1頭の良血馬で初陣Vを飾り、クラシック戦線に乗りたいところだろう。
ハマの大魔神が「ポスト福永祐一」を指名!?
そんな佐々木オーナーがヴィンセドリスの鞍上を託したのは、昨年G1を2勝しブレーク中の坂井瑠星騎手だ。本来なら母ヴィブロスの背中を知り、佐々木オーナーの主戦騎手を務めてきた福永祐一騎手に託しても良かったはずだが……。
「やはり福永騎手が(3月から)調教師に転身するからでしょう。もし初戦に福永騎手が乗っても、次は乗り替わりになるのが確実ですからね。将来を見据えて継続して騎乗できる若手の有望株に白羽の矢を立てたのだと思います。
坂井騎手とすれば、佐々木オーナーの馬に騎乗するのは意外にもこれが初めて。最近はG1こそ勝っていませんが、“強運”として知られるオーナーだけに一発回答で期待に応えたいところでしょう」(競馬誌ライター)
福永騎手の引退で、後継候補の筆頭格にも名前が挙げられる坂井騎手。自身にとっても、そして佐々木オーナーにとっても初のクラシック制覇を意識させるような結果を残すことができるだろうか。