JRA噂のソールオリエンスは「G1級」の大物なのか、過去にエイシンフラッシュがダービー優勝も…京成杯組が出世しにくい裏事情
先週末の京成杯(G3)で2着馬に2馬身半の差をつけて圧勝したソールオリエンス(牡3、美浦・手塚貴久厩舎)。単勝オッズ2.7倍で人気を分け合ったセブンマジシャンとの対決を制し、クラシック候補の1頭として名乗りを上げた。
4コーナーで外に膨れる“行儀の悪さ”を見せたものの、騎乗した横山武史騎手から「馬はかなり能力を持っています」「改めて強い馬だと認識できました」「期待していい馬だと思います」と賛辞。管理する手塚師も「課題はたくさんありますが、力があることを再認識しました」「次はもっと良くなるでしょう」「本番も頑張ってくれると思います」と自信を深めた様子だった。
皐月賞(G1)と同じ舞台の中山芝2000mで最高の結果を残したことも、クラシックを見据えるには好都合。このまま4月16日の本番に直行するか、それとも一戦を挟むか。今後のローテーションに注目したいところだ。
ただ、大物と噂されるソールオリエンスだが、京成杯優勝馬というのは少々気になる。
京成杯組が出世しにくい裏事情
というのも、近10年で京成杯を勝った馬の中で、その後にG1を制した前例がないからだ。クラシック3着以内まで広げると、2018年の勝ち馬ジェネラーレウーノが皐月賞で3着、同2着のコズミックフォースが日本ダービー(G1)で3着に食い込んだケースもなくはないが、12月末にホープフルS(G1)の開催があるため、有力馬の多くはG3の京成杯に使ってこない傾向にある。
例外的な大物といえば、2004年の3着キングカメハメハや2009年の2着ナカヤマフェスタ、2010年に優勝したエイシンフラッシュなどもいるが、当時はまだホープフルSがG1に昇格する前のこと。やはり、近年の京成杯組でこれといった活躍馬となると、ピンと来ないのが正直な感想だ。
また、1月中旬という開催時期も大物の参戦が少ない理由のひとつといえるだろう。厳寒期に無理をさせたくない陣営の心理もある上、2月には東京が舞台の共同通信杯(G3)、3月には京成杯と同じく中山の芝2000mで行われる弥生賞ディープインパクト記念(G2)の開催も控えている。
となると、合間に行われる京成杯組の実力が、G1やG2で好走している馬に見劣りしても不思議ではない。もし本番に直行するようなら、ライバル各馬と直接対決のないままとなり、力関係の把握が難しくなるはずだ。
現在のタイミングでクラシックの話をするには少し早い気もするが、朝日杯フューチュリティS(G1)を制したドルチェモアのマイラー色が強いイメージや、逃げた馬が2着で勝ち馬も2番手というスローの前残りで決着したホープフルSの勝ち馬が、14番人気の大穴ドゥラエレーデだったことを踏まえればチャンスもありそう。
だからといって、いまだに確たる主役が登場していない現状を考えると、まだまだ混沌としている印象も否めない。一つ言えそうなことがあるとしたら、今年の3歳世代は近年稀に見る“どんぐりの背比べ”となる可能性が高いということか。