「能力はあります」武豊お墨付き“1ハロン9秒8”の快速外国産馬、ダート替わりで圧巻差し切りV
14頭立てで行われた21日の小倉3R・3歳未勝利戦(ダート1000m)は、今村聖奈騎手が騎乗したカンフーダンスが単勝オッズ1.3倍の圧倒的1番人気に支持された。
デビューから3戦中2戦でハナを切り、残る1戦も2番手から競馬をしていたようにテンの速さはメンバーでも屈指と思われた。しかし、この日はゲートの出が今一つ。好位の4番手にはつけたものの、直線に入ってから失速し、勝ち馬から1秒1差の6着に敗れた。
そんなカンフーダンスと今村騎手を尻目に中団から直線一気の末脚で勝利を挙げたのがB.ムルザバエフ騎手のメタマックス(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)だ。
ダート替わりで圧巻差し切りV
デビュー3戦目で初めてのダート挑戦となったメタマックスをファンは2番人気に支持。18日の栗東坂路で行われた最終追い切りでは、古馬を含めてこの日の“2番時計”をマークしており、1000mへの距離短縮がいい方向に出たようだ。
「ダート替わりに加えて、前走から2ハロンの距離短縮もこの馬にはプラスでしたね。デビュー前から坂路で好時計を連発していたように典型的なスピードタイプですが、過去2戦はいずれも芝で5着、12着と期待外れの結果に終わっていました」(競馬誌ライター)
初戦は阪神・芝1200mで後方から追い込んでの5着。このとき騎乗した武豊騎手は「能力はあります」と高く評価していた。しかし、やや距離が長かったのか1400mに距離を延ばした2戦目では2秒0差の12着に敗れていた。
「今回は小倉ということで武騎手は騎乗できませんでしたが、ムルザバエフ騎手が落ち着いた手綱さばきを見せてくれました。逃げ・先行馬が圧倒的に有利なこのコースで、スタートで遅れたときはどうなるかと思いましたが、直線鋭く伸びましたね」(同)
ライターの言葉通り、メタマックスはスタートでやや後手を踏んだが、すぐに挽回し、道中はちょうど中団を追走した。4角でも先頭集団からは7馬身ほど離された6番手。直線が短い小倉では致命的な位置取りだったが、直線で逃げ込みを図るクリーデンスに一完歩ずつ詰め寄ると、ゴール前でアタマ差だけ交わした。この勝利には、陣営もホッと胸をなでおろしたことだろう。
「この馬は昨年3月に行われた米国オカラブリーダーズセールス社のマーチセールで森調教師が落札しましたが、その額はなんとその日の最高額となる110万ドル(当時のレートで約1億3000万円)。森調教師が当時馬主1年目の『藤田晋オーナーのために』というコメントを残して話題にもなりました。額が額だけに未勝利のまま終わるわけにはいきませんからね……。
この馬のセールスポイントは、何といってもそのスピード。セリの数日前に行われた公開調教では1ハロン9秒8という破格のタイムを披露していたとか。その体型からもダートの短距離馬としてますますの活躍に期待できそうです」(同)
今後はダート短距離路線が視野に入りそうだが、いずれは生まれ故郷への凱旋もあるかもしれない。今回のレースは、そんな期待を抱かせる勝ち方だった。