共同通信杯「今年も」超豪華メンバー集結!一方、かつてはスペシャルウィーク、ナリタトップロードが重賞初制覇した「あのレース」の凋落ぶりが悲しい
2月12日に東京競馬場で開催される共同通信杯(G3)には、今年も春のクラシックを見据えた好メンバーが集いそうだ。
一昨年は勝ち馬のエフフォーリアが同年の年度代表馬に、昨年も2着ジオグリフが皐月賞馬、7着ダノンスコーピオンがNHKマイルC(G1)を勝つなど、指折りの出世レースとなっている共同通信杯。ここ3年の平均レーティング112.92はスプリングS、青葉賞といった3歳限定G2を上回っており、今年も高レーティングが期待できる素質馬が揃った印象だ。
筆頭候補は、デビュー当初からクラシック級と注目を集めているダノンザタイガー(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)か。
前走の東京スポーツ杯2歳S(G2)では2着に敗れたが、負けてなお強しといった印象だった。昨年はダノンベルーガが制した共同通信杯だが、今年もダノン軍団の期待馬が出世の足掛かりとするか。
スケールという点では、レイベリング(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)もヒケを取らない。
前走の朝日杯フューチュリティS(G1)は、キャリア2戦目でG1挑戦という厳しい状況だったが3番人気に支持された。レイベリングはそんなファンの期待に応えるようにゴール前では横一線に持ち込む接戦を演出。残念ながらクビ+クビ及ばない3着だったが、十分な存在感を見せつけている。
スピード型のフランケル産駒だけに、狙いはクラシックよりもNHKマイルCか。本番に向けて、ここで賞金を加算しておきたい。
この2頭に割って入れるだけの大器がファントムシーフ(牡3歳、栗東・西村真幸厩舎)だ。
デビュー2連勝で挑んだホープフルS(G1)では4着に敗れたが、スタートの出遅れが響いた格好。前残りのレースながら最後はきっちり伸びており、この馬がクラシックの有力候補であるという評価は変わらない。今回は主戦の福永祐一騎手が2月一杯で引退する関係もあって、C.ルメール騎手と新コンビが決定した。
他にも2連勝中のコレペティトール、1戦1勝ながらデビュー戦を好内容で勝ち上がったタスティエーラ、タッチウッドなども、ここを勝つようなら一気にクラシック戦線の主役になってもおかしくない素質馬。新潟2歳S(G3)2着のウインオーディン、朝日杯FSの4着馬キョウエイブリッサなども出走を予定しており、今年も「共同通信杯らしい」ハイレベルな一戦が期待できそうだ。
その一方で、今年も寂しいメンバーになりそうなのが、1週前に行われるきさらぎ賞(G3)だ。
現段階でフリームファクシやオープンファイアといった素質馬が有力視されているが、重賞実績のある有力馬の参戦は決まっておらず、共同通信杯には大きく見劣る印象だ。
これまで共同通信杯と並ぶ2月開催の3歳重賞として、数々の若駒たちを送り出してきたきさらぎ賞。しかし、近年は両重賞に大きな差が生まれている。
冒頭で触れた共同通信杯はここ2年だけでなく、ここ10年を振り返ってもダノンキングリー、スワーヴリチャード、ディーマジェスティ、リアルスティール、イスラボニータと毎年のように後のG1馬が名を連ねている。
その一方できさらぎ賞の近10年の勝ち馬で、後にG1を勝ったのはサトノダイヤモンド1頭だけ。それどころか本馬が勝った2016年後の勝ち馬はG1どころか、これが最初で最後の重賞制覇といった有様だ。
かつてはスペシャルウィークやナリタトップロード、ネオユニヴァースといった後のクラシックホースが重賞初制覇を飾る出世レースだったきさらぎ賞。一体何故、ここまで凋落してしまったのだろうか。
「元々はクラシックを見据える関西馬はきさらぎ賞、関東馬は共同通信杯という図式でした。しかし、コース経験が重要視されるようになった近年では、春の日本ダービー(G1)やNHKマイルCと同じ東京で行われる共同通信杯が価値を上げる結果に。『今のうちに一度、東京を経験させておきたい』と考える陣営は少なくなく、近年は関西の有力馬があえて遠征してくることも珍しくありません。その結果、同時期に行われるきさらぎ賞が割を食ってしまっている感は否めませんね」(競馬記者)
分かりやすい例が、共同通信杯と同じ東京・芝1800mで行われる東京スポーツ杯2歳Sだろう。
1996年にG3に昇格した東京スポーツ杯2歳Sだが、これまで数々のG1ホースを輩出する出世レースとしての地位が確立されると、2021年にはG2に昇格。その背景には、やはり早めに東京を経験させたい陣営の思惑があるようだ。
「昔は1月のシンザン記念(G3)と京成杯(G3)も同じ1600mのレースとして、東西の3歳馬を対象に開催されていました。
その結果、京成杯はなかなか頭数が揃わないなどの問題を抱えていましたが、1999年に2000mへ開催距離を延長したことで差別化を実施。今年は9頭立てでしたが2000mになって以来初めての一桁と、一定の需要の獲得に成功しています。きさらぎ賞も施行条件を変えることで、共同通信杯との差別化を図る時期に来ているのかもしれません」(同)
ちなみにきさらぎ賞の近3年の平均レーティング107.83は、共同通信杯の112.92と大きく水をあけられているだけでなく、前述したシンザン記念や京成杯よりも下という厳しい状況が続いている。
現在、京都競馬場の改修工事の関係で中京で開催されているが、来年からは再び従来の京都に戻ることが濃厚だ。これを機に施行条件を変更し、共同通信杯との差別化を図ってはどうだろうか。