ダノンザキッド「鬼門」の中山でまたも悪夢…2度目のゲート再審査でドバイ遠征も中止と踏んだり蹴ったり
「日本の皆さんこんばんは。サウジアラビアでサウジカップ勝ちました!」
日本時間26日の未明、競馬界にビッグニュースが飛び込んだ。世界最高の1着賞金(約13億6000万円)を誇るサウジカップ(G1)で、日本馬のパンサラッサが大金星を上げたのである。
過去には日本馬5頭が挑戦し、6着が最高だったサウジカップだが、ついに快挙を成し遂げた。レース後には鞍上の吉田豊騎手をはじめ、管理する矢作芳人調教師も「こんな結果が出るとは信じられない」と喜びを爆発。歴史に残る日本馬初の大偉業に、ファンも歓喜に沸いた。
昨年の中山記念覇者パンサラッサがサウジアラビアで大輪を咲かせた一方で、今年の中山記念で2番人気に支持されたダノンザキッド(牡5、栗東・安田隆行厩舎)は、最後の直線で伸びを欠き、11着に惨敗。1番人気で7着に敗れていた昨年の1年越しのリベンジを狙っていたものの、またも厳しい結果に終わってしまった。
「鬼門」の中山でまたも悪夢…
手綱を取った北村友一騎手が「いい位置で競馬はできた」と振り返った通り、スタートや道中の位置取りは、決して悪くなかったダノンザキッド。スローの逃げに持ち込んだドーブネが3着に残れたように、内ラチ沿いの好位を追走する絶好のポジションだった。スタートが一息だった上に後方から末脚不発に終わった昨年に対し、今年は積極果敢なレース運びにも映った。
しかし、敗戦を振り返った北村友騎手が「ポジションを取りに行った分気負って、4角から脚が使えなかった」とコメントした通り、勝負どころでいつものような末脚を使うことなくズルズルと後退。2歳時に同じ中山コースのホープフルS(G1)を優勝した馬にしては、物足りなさを感じたレース内容かもしれない。
「昨秋からマイルCS(G1)2着、香港カップ(G1)2着と復活の兆しが見えていただけに、残念な結果となりました。戦前から陣営も『あの頃(1年前)より状態は数段良くなっている』と状態に太鼓判を押していたのですが……。
状態面に不安がなかったとなれば、敗因は精神面の方でしょうか。昨年7着に敗れた際に、鞍上の川田将雅騎手が『中山に嫌な記憶が残っているのか全く走る気になってくれませんでした』と漏らしていましたが、これはおそらく弥生賞ディープインパクト記念(G2)3着から臨んだ皐月賞(G1)で15着に惨敗し、日本ダービー(G1)を目前に骨折したことを意味している可能性が高そうです」(競馬誌ライター)
また、昨年に続く中山での惨敗に留まらず、ゲート入りにおいても課題が残った。
昨年の毎日王冠(G2)ではゲートの前扉を壊し、JRAからゲート再審査の処分を受けたダノンザキッドだが、今回はスタート前にゲートをくぐってしまうハプニング。再度JRAから「枠内駐立不良」と判断され、2度目のゲート再審査と1カ月間の出走停止を課せられた。
これにより、来月のドバイ遠征も事実上不可能となった。春の大目標まで諦めざるを得ない上に、3年連続で中山開催のレースを大敗してしまった。
ダノンザキッド陣営にとっては、まさに踏んだり蹴ったりの結末だったのではないか。