開業4年目のG1獲りへ視界良好、出遅れた“ダート王国”が1週間で2億円を荒稼ぎ!
3月1日に川崎競馬場で行われた地方のダートグレード競走・エンプレス杯(G2)。勝ったのは単勝1.6倍の支持を受けた1番人気のグランブリッジ(牝4歳、栗東・新谷功一厩舎)だった。
同馬は昨年6月に今回と同じ舞台で行われた関東オークス(G2)を制しており、そこからなんと6戦連続で地方の牝馬限定重賞に出走してきた。川崎から門別、盛岡、船橋、大井と渡って9カ月ぶりに川崎へ。その間の成績は1着→1着→2着→2着→1着→1着と、コースや馬場を問わずに安定感抜群のパフォーマンスを続けている。
昨年11月のJBCレディスクラシック(G1)では同世代のヴァレーデラルナに敗れたものの、前走のTCK女王盃(G3)と今回のエンプレス杯では2戦続けてそのライバルを打ち負かしてみせた。対戦成績でも2勝1敗と逆転し、今年は悲願の女王戴冠への期待が高まっている。
勝負の1年に向けて好発進を切ったグランブリッジだが、管理する新谷厩舎にとってもこの1週間はある意味で“勝負の1週間”であった。というのも今回のグランブリッジだけでなく、厩舎を代表する看板馬たちが相次いで大舞台に臨んでいたのだ。
出遅れた“ダート王国”が1週間で2億円を荒稼ぎ!
現地時間2月25日にサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で開催された“サウジカップデー”。新谷厩舎からはリメイクがダート1200mのリヤドダートスプリント(G3)に、クラウンプライドがメインのサウジC(G1)に参戦した。
福永祐一騎手の現役最終騎乗としても注目を浴びたリメイクは、強力な米国勢の後塵を拝す形で3着。クラウンプライドも世界の強豪が集う一戦で5着と善戦はしたが、同レースで日本馬初の優勝を果たしたパンサラッサに話題をさらわれる格好となった。
それでも、さすがは世界最高の賞金を誇る大舞台。クラウンプライドは5着ながら国内のG1勝ちに匹敵するレベルの100万ドル(約1億3600万円)という大金を掴み、リメイクもG3戦の3着ながら15万ドル(約2000万円)をゲット。グランブリッジの優勝賞金4000万円と合わせ、3頭で約2億円を稼ぎ出すことに成功している。
昨年は年間31勝で、JRAのリーディング情報を見ても第25位とさほど目につく順位ではなかった新谷厩舎だが、実は地方・海外の成績を含めると年間の勝利数は40まで伸び、ランキングも13位まで一気に浮上してくる。
それを支えているのがダート戦での強さで、昨年挙げた40勝の内訳を見ても、芝が11勝に対してダートは29勝。上で紹介した3頭のエース格はもちろんのこと、厩舎には通算の獲得賞金が1億円を超えているケイアイターコイズとスマッシングハーツという明け7歳のベテランもおり、2頭は今なお現役バリバリで活躍を見せている。
この豪華な“5本柱”に加え、3歳世代には将来のエース候補として昨年のJBC2歳優駿(G3)を制したゴライコウの名前もある。ダート戦線における層の厚さはJRA屈指で、超強力な布陣を引っ提げて今年は厩舎初のG1獲りに挑む。
ところが、そんな期待の中で迎えた2023年も出だしの2カ月は3勝止まり。リーディングを見ても88位と思わぬスロースタートとなっていただけに、今回のグランブリッジの快勝は厩舎にとっても大きな1勝となったに違いない。
今月25日には“ドバイワールドカップデー”という新たな大舞台が控えており、サウジアラビアで奮闘を見せた2頭はそのまま次の決戦の地・UAEへ。リメイクはドバイゴールデンシャヒーン(G1)で、クラウンプライドはドバイワールドC(G1)でG1初制覇を目指す。
さらには若頭のゴライコウも、次戦は川田将雅騎手とのコンビで同日のUAEダービー(G2)に臨むことが『サンスポ』で報じられている。僚馬の先輩たちとともに、新谷厩舎の“3本の矢”として世界の強豪に挑む。
開業4年目にして、“砂の新谷”はダート界に旋風を巻き起こすことができるか。徐々にエンジンがかかってきた新谷功一厩舎の管理馬たちに注目だ。