オグリキャップに続く「笠松の怪物」が圧勝したトライアル! 1番人気の桜花賞で味わった「地獄」

 12日、阪神競馬場にて桜花賞(G1)の最終切符をかけたトライアル、フィリーズレビュー(G2)が開催される。

 今年で57回目を数えるが、チューリップ賞(G2)が桜花賞指定オープンという形で重賞でなかった頃は、このレースをステップに桜花賞を制した馬や春二冠を盛り上げた馬が少なからずいた。しかし、今ではチューリップ賞がその役目を果たしており、もっぱら桜花賞出走の権利獲りのためのレースになっている。

 そんなトライアルレースだが、過去に一際注目を集めた年がある。それは、ライデンリーダーの勝利した1995年だ。

「笠松の怪物」が圧勝したトライアル!

 ライデンリーダーはJRA所属馬ではなく、笠松出身の地方馬。笠松と言えばまず思い出されるのがオグリキャップの存在だが、オグリキャップが地方から中央へ転籍したのに対して、ライデンリーダーはデビューから引退まで笠松所属のままでいた。

 94年6月に迎えたデビュー戦の鞍上は当時笠松のトップジョッキーだった安藤勝己騎手。ここをあっさり勝ち上がると、3歳(現2歳)シーズンから4歳(現3歳)初頭まで破竹の10連勝を飾る。中にはぶっちぎりのレースもあり、その強さは群を抜いていた。

 奇しくもライデンリーダーが4歳シーズンを迎えた95年は地方と中央の交流が本格的に始まった年でもある。中央のG1が地方馬にも門戸が開放され、指定されたレースで一定の着順を得ると、地方所属のまま中央のG1へ出走できるようになった。

 ライデンリーダーの強さがどの程度中央で通用するのか「試す」ような形で、出走に踏み切ったのがこのフィリーズレビュー、当時は報知杯4歳牝馬特別という名の桜花賞トライアルレースだった。

「笠松で10戦無敗の怪物が出走する」ということでこの年のレースは一躍注目を浴びたが、蓋を開けてみると中央で8戦4勝のエイユーギャルに1番人気を譲り、ライデンリーダーは2番人気となっていた。ファンもダートで10戦10勝の強さは認めるも、芝でどう走るのか半信半疑だったのかもしれない。

 レースは、内枠を引いたライデンリーダーは初芝ながら五分のスタートを切って、そのままインに入って中団やや後ろ目を追走。最後の直線で他馬がステッキを入れて懸命に追っているのを尻目に1頭だけ次元の違う脚で一気に抜き去り、ノーステッキで3馬身半差をつける圧勝を飾った。

 後に騎手を引退した安藤氏が笠松に戻ってのトークショーで「中央の馬も大したことないな」と思わせるほどの強さを見せつけ、騎乗している当人にも「乗っている僕がびっくりした」と言わしめた。

1番人気の桜花賞で味わった「地獄」

 圧勝したライデンリーダーは勢いそのままに桜花賞へ向かった。前走の圧勝でファンも強さを確信したのか、チューリップ賞を経由してきたサンデーサイレンスの初年度産駒、ダンスパートナーやプライムステージといった有力馬を抑えて単勝1.7倍の圧倒的1番人気に推された。

 だが、3枠を引いた桜花賞では道中インにつけて追走するも、他馬からの徹底マークを受けた上に、直線に入って前も横もスペースが作れないほど馬群に包まれる。やっとくぐり抜けて脚を伸ばしたところがゴールで4着。まさにライデンリーダーと安藤騎手が「中央の洗礼」を受けた瞬間だった。

 この後、ライデンリーダーは地方馬として初の牝馬三冠に皆勤するが、結局G1タイトルを獲ることができず、中央のダート戦などにも参戦したが勝ち星が挙げられないまま笠松に戻って引退することになる。

 古くは「大井の怪物」と呼ばれたハイセイコーや上述のオグリキャップなど地方で圧倒的な強さを見せて中央へ転籍し、中央の重賞を勝ちまくるケースはあったが、ライデンリーダーは地方馬のまま95年の牝馬三冠を賑わせたという意味で異色の存在だったかもしれない。

GJ 編集部

真剣勝負の裏にある真実に切り込むニュースサイト「GJ」の編集部です。これまで作成した記事は10000本以上。競馬歴10年超えの情報通が業界の「しがらみ」を取り払った「本音」や「真実」にも臆することなく、他のサイトとは一線を画したニュース、サービス提供を行っています。

真剣勝負の真実に切り込むニュースサイト「GJ」

Twitter:@GJ_koushiki

Instagram:@goraku.horse.racing0505

関連記事

JRA最新記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 5:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS