「ポツン騎乗」でも侮れない大ベテラン、キャリア38年目の横山典弘騎手が狙うその先は?
デビュー38年目の大ベテラン横山典弘騎手が、復調の兆しを見せている。2012年の112勝を最後に年間100勝を超えることはなく勝ち鞍は減り続け、2021年は乗鞍が少なかったこともあるが26勝までに落ちていたが、去年は36勝とやや盛り返して同年12月4日にはJRA通算2900勝を達成した。
今年は先週までに13勝をあげて全国リーディング17位、関東リーディングでは4位と近年の成績と比較すればまずまずの滑り出しだ。
横山典騎手といえば、時に大胆な後方待機策でファンを驚かせる“ポツン騎乗”のイメージもあるが、その逆で絶妙なペースの逃げや巧みな手綱捌きも魅力のジョッキーである。
馬を大事にするスタイルや状態を優先するため、いざレースが始まってみないと、どういう乗り方をしてくるか想像しにくいことは、馬券を購入するファンにとって悩ましいところかもしれない。
とはいえ、最近の横山典騎手が好調であることは間違いなさそうだ。それは数字にも表れており、今年の勝率16.0%、連対率28.4%、複勝率40.7%が証明している。
全国リーディングこそ17位ながら、複勝率においては2位のC.ルメール騎手に次ぐ好成績(短期免許取得外国人騎手・障害騎手除く)。懇意にしている昆貢調教師や寺田千代乃オーナーのバックアップも好影響をもたらしているのだろう。
また、モチベーションのアップに長男の横山和生騎手、三男の横山武史騎手の活躍も刺激となっているはずだ。2人の父としてだけではなく、先輩騎手としても息子たちに伝えたいことがまだまだ残っているのかもしれない。
JRA通算2900勝を達成した際のインタビューでは「ジョッキーを長く続けたい気持ちが湧いてきた」とコメントしているように、一時期噂された調教師転身よりも騎手・横山典弘の続行に意欲も見せた。
先日開催された金鯱賞(G2)では、アラタに騎乗して3着と結果を残した。最後の直線で前の馬に挟まれる不利もあったが、“後方ポツン”どころか積極的なポジション取りでパートナーを好走に導いた手腕はさすがである。
自身が主戦騎手を務めているトップナイフは、今年の牡馬クラシック候補の1頭だ。ここまで重賞の惜敗が続くが、弥生賞ディープインパクト記念(G2)で2着に入ったように、その実力は疑う余地がない。
トップナイフで皐月賞(G1)を制覇するようなら、自身も1998年セイウンスカイ以来25年ぶりの優勝も見えてくる。通算2913勝は歴代3位。2943勝で2位の岡部幸雄元騎手の背中も見えてきた。今年の横山典騎手がクラシックで大暴れしてくれることに期待したい。