「逆襲」の社台ファームは希望の星!? 無敗の新星ベラジオオペラ&ソールオリエンス皐月賞へ、新たな“社台ブランド”が人気を呼ぶ意外な側面

 先週、スプリングS(G2)をベラジオオペラが勝利し、皐月賞トライアルがすべて終了。4月に控える牡馬クラシック開幕戦の陣容が、いよいよはっきりとし始めた。

 そんな中、大きな存在感を放っているのが生産界のかつての王者・社台ファームだ。

 スプリングSで3戦3勝としたベラジオオペラ、デビュー2連勝で京成杯(G3)を勝ったソールオリエンスは共に無敗馬、さらにすみれS(L)を完勝したシャザーンもスケール感たっぷりだ。弥生賞ディープインパクト記念(G2)3着で優先出走権をゲットしたワンダイレクトも社台ファーム生産馬と、現時点で4頭が皐月賞(G1)へ駒を進めることが濃厚となっている。

 また、牝馬クラシックでもシンザン記念(G3)を勝ったライトクオンタムは桜花賞(G1)で最有力視される1頭として注目されており、王道トライアル・チューリップ賞(G2)を勝ったモズメイメイも当然有力だ。先週もヒップホップソウルがフラワーC(G3)で2着してクラシックへ大きく前進したばかりと牝馬のラインナップも充実している。

 それだけでなく全日本2歳優駿(G1)のデルマソトガケ、エーデルワイス賞(G3)のマルカラピッドなど、芝もダートも活躍馬が出ている点は大きな特徴だろう。

 昨年、生産馬のスターズオンアースが桜花賞を勝ち、2017年のオークス(ソウルスターリング)以来、久々のクラシック制覇を飾った社台ファーム。それだけでなく、スターズオンアースがオークス(G1)も勝って春二冠を制すと、秋の菊花賞(G1)ではアスクビクターモアとボルドグフーシュがワンツーゴールするなど王国再建の狼煙を高々と上げている。

 今年のクラシックでも昨年以上の結果を残すようなら、生産界の絶対王者ノーザンファームの背中も見えてくるはずだ。

「ここに来て社台ファーム(牧場)の坂路コースを改修したことの効果が出ていると思います。2018年に坂路の勾配を上昇させるだけでなく、馬場をダートからウッドチップへ変更するなど大きな動きがありました。関係者の話では育成段階から充実した施設で馴致できることもあって『若い馬の動きが変わってきた』とのことです。

もちろん、昨年も約160億円と73億円でダブルスコアをつけられているように、まだまだノーザンファーム1強の時代は続くでしょうが、昨年4月に着工した新たな外厩社台鈴鹿トレーニングセンター(仮称)が今年6月からいよいよ稼働し始めるそうですし、今後さらに大きな巻き返しを見せてくれると思います」(競馬記者)

 また、社台ファームの復活は馬主の勢力図にも意外な効果をもたらしているという。

新たな“社台ブランド”が人気を呼ぶ意外な側面

「社台ファームの復活を好意的に受け止めているオーナーさんは少なくないですよ。というのも、今の競馬界で最高のブランドであるノーザンファームの生産馬は人気があり過ぎて、なかなか手に入れられないそうです。

また、将来有望な良血馬の多くがサンデーレーシングやシルクレーシング、キャロットファームといったノーザン系一口馬主クラブに流れることで、個人馬主にとってノーザンファーム生産馬はさらに希少になっています。

その一方で社台ファームにも、一口馬主クラブの社台レースホースがありますが『良い馬がセリに出されることも多い』とか。社台ファーム産は今でも根強い人気があるブランドですし、こういった最高クラスの生産馬は所有するだけでステータスになるので、欲しがる馬主さんも少なくないとか」(別の記者)

 実際に、冒頭で挙げたベラジオオペラのスプリングS勝利は上村洋行厩舎の初重賞で話題になったが、「ベラジオ」の冠名で知られる林田祥来オーナーにとっても重賞初制覇だった。

 他にも、先述したアスクビクターモア(廣崎利洋HD)やモズメイメイ(キャピタル・システム)、ワンダイレクト(青山洋一氏)、デルマソトガケ(浅沼廣幸氏)といったところも個人オーナーの所有馬だ。ドーブネ(藤田晋氏)やオニャンコポン(田原邦男氏)といった重賞戦線で活躍している馬もいる。

 かつて90年代から2000年代初頭にかけて、生産界の絶対王者に君臨していた社台ファーム。ここ十数年はノーザンファームの台頭によって雌伏のときを重ねることになったが、復活を期す“ニュー社台”は一攫千金を夢見る「個人馬主たちの希望の星」という意外な側面を伴っているのかもしれない。

GJ 編集部

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