【ドバイゴールデンシャヒーン(G1)展望】レモンポップの快進撃は続くか、「いい形で向かいます」川田将雅レッドルゼル三度目の正直へ
25日、UAEのメイダン競馬場ではドバイワールドカップデーが行われる。日本馬が出走予定のG1競走は4つあるが、その中で唯一、日本馬による勝利がないレースがドバイゴールデンシャヒーン(G1)である。
国際G1に昇格した2002年以降、のべ17頭がことごとくその厚い壁に跳ね返されてきたが、精鋭4頭が挑む今年は大いにチャンスがありそうだ。
中でもゴドルフィン所有のレモンポップ(牡5歳、美浦・田中博康厩舎)が主要ブックメーカーの間で人気を集めている。
デビューから11戦8勝、2着3回とパーフェクト連対を続けているレモンポップ。今年は根岸S(G3)で重賞初制覇を遂げると、続くフェブラリーS(G1)も制して、G1馬の仲間入りを果たした。
その前走は陣営も1400mがベストと認める距離不安がある中での完勝。前走後はゴドルフィンマイル(G2)との両睨みだったが、敢えて初距離の6ハロン戦を選択してきた。
デビュー戦で1300mを走ったレモンポップだが、その後は1400mか1600mしか使われておらず、前走から一気の2ハロン短縮がカギとなるのはまず間違いないだろう。
筋肉ムキムキの馬体とこれまで見せてきた類まれなるスピードから、全く問題にしない可能性は高そうだが、それでも未経験のハイペースに巻き込まれたときに果たして対応できるかどうか。前走で初コンビを結成した坂井瑠星騎手の手綱さばきにも注目が集まる。
フェブラリーSで1馬身半差の2着に敗れたレッドルゼル(牡7歳、栗東・安田隆行厩舎)は、この距離なら逆転も視野に入る。
なにしろこのレースでは2年連続で2着に好走しており、フェブラリーSをステップとするローテーションも過去2年と同じ。2年前はフェブラリーS4着、昨年は同6着からの参戦だったが、今年は同2着からで臨戦過程は過去一だ。
鞍上を務めるのはもちろん川田将雅騎手。前走後に「いい形でドバイに向かいます」と話していたが、フェブラリーSで逃した“三度目の正直”を今度は遠いドバイの地で果たすことができるか。
リメイク(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)は、武豊騎手との新コンビで初G1に挑む。
前走のリヤドダートスプリント(G3)で鞍上を務めたのは、それがラストライドとなった福永祐一現調教師。渾身の騎乗で4頭いた日本馬の中では最先着の3着と、初の海外競馬で適応力を見せた。
血統的にもドバイで更なる進化を遂げる可能性を秘める。父のラニは武騎手とのコンビで、16年のUAEダービー(G2)を制覇。その後は米国の三冠路線にも挑戦し、ベルモントS(G1)では3着に好走している。
結局G1には届かず引退した父が描いた大きな夢を、父が最も輝いたドバイで遂げることはできるか。
4頭目の日本馬は中央と地方でダートスプリント重賞を3勝しているジャスティン(牡7歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
全盛期の2年前にも中東遠征を敢行したが、その時はリヤドダートスプリント6着、ドバイGS11着と結果を残せなかった。同じローテーションで臨む今年は前走が2年前を上回る4着。前走のように逃げたときの粘り腰は健在で、今回もテンから飛ばしていくだけだ。
鞍上を務めるのは、今月上旬まで日本で騎乗していたB.ムルザバエフ騎手。短期間でホープフルS(G1)を含む重賞を3勝した手腕にも期待がかかる。
相対する外国馬の筆頭格はガナイト(牡4歳、米・S.アスムッセン厩舎)だ。前走リヤドダートスプリントではエリートパワーの2着に入り、3着リメイクには2馬身差をつけた実力の持ち主。欧州の主要ブックメーカーではレモンポップと1番人気を争っており、日本馬にとっては最大のライバルとなる。
この他にはL.デットーリ騎手とのコンビで臨むホプキンズ(牡5歳、米・B.バファート厩舎)、R.ムーア騎手と初コンビが魅力のシベリウス(セ5歳、米・J.オドワイヤー厩舎)、さらに昨年の当レースを最低人気(主催者発表オッズ)で制覇したスイッツァランド(セ9歳、UAE・B.シーマー厩舎)、昨年のブリーダーズCスプリントでエリートパワーの2着に好走したシーズィーロケット(セ9歳、米・P.ミラー厩舎)などの古豪も侮れない存在だ。
日本馬の悲願を達成するのは充実一途のレモンポップか、それとも2年連続で涙を飲んだレッドルゼルか。注目のドバイゴールデンシャヒーンは25日23時25分に発走を迎える。