C.ルメール「2400mの馬」もヴィクトリアマイル参戦表明!惜敗続くスターズオンアースの選択は迷走か名采配か
先日の大阪杯(G1)は、武豊騎手騎乗の2番人気ジャックドール(牡5、栗東・藤岡健一厩舎)が逃げ切り、念願のG1タイトルを獲得した。
一方で、1番人気に支持されたスターズオンアース(牝4、美浦・高柳瑞樹厩舎)はハナ差の2着に惜敗。前残りの展開ながら後ろから一頭だけ追い込んできたレースぶりは“負けて強し”の内容だった。
鞍上のC.ルメール騎手から「秋華賞と同じ競馬になった」というコメントが出た通り、前半に位置をとれず差し届かないという負け方は昨年の秋華賞(G1)と同じような敗戦。また、レース後にルメール騎手が「2400mの馬。跳びが大きくて直線の長いコースのほうがいい」と話したように、2000mよりも長い距離への適性が高そうだ。
しかしながら、スターズオンアースを所有する社台サラブレッドクラブは、ホームページで同馬の次走をヴィクトリアマイル(G1)に予定していると発表。これは本馬を「2400mの馬」と評したルメール騎手の見解と異なる距離短縮だ。もちろん大阪杯前からの既定路線だった可能性もあるが、陣営と鞍上のあいだでスターズオンアースに対する認識の違いが生じている感は否めない。
スターズオンアースの選択は迷走か名采配か
確かに近年のヴィクトリアマイルは、アーモンドアイやグランアレグリアなど牡馬とも互角かそれ以上に戦える馬が圧勝するシーンが目立っている。陣営からすれば、牝馬相手で東京競馬場の長い直線がプラスに出れば勝てるという思惑だろうが、残念ながら今年のヴィクトリアマイルはそれだけで勝てるほど甘くはなさそうだ。
というのも、今年のヴィクトリアマイルにはメイケイエール(牝5、栗東・武英智厩舎)とナムラクレア(牝4、栗東・長谷川浩大厩舎)が参戦を予定。2頭ともスプリント路線のトップホースだけに、マイルでも短距離戦に近いようなスピード能力が求められる可能性が高い。スプリントG1でも余裕で追走できるこの二頭が展開のカギを握るようなら、レース前半は速い流れになることが想定される。
スターズオンアースはここ2戦とも前半のポジションが仇となって敗れており、マイルG1のペースについて行けるかがカギとなりそうだ。またしても位置取りが後方となって差し届かずというシーンがあっても不思議ではない。
また、ヴィクトリアマイルには昨年の優勝馬ソダシ(牝5、栗東・須貝尚介厩舎)も出走を予定している。こちらはマイルG1で3勝をあげているマイルのスペシャリスト。どのレースでも先行して押し切る勝ち方をしていることから、スターズオンアースにとっては間違いなく強敵となるだろう。
スターズオンアース陣営としては、惜敗続きに何としてもピリオドを打ちたいところ。そのためには、同馬が最も力を発揮できるレースに出走させたいのは当然である。このタイミングでのマイルG1出走という選択が名采配となるのか迷走となるのか。来月の本番で答えが出る。