姉の被害直撃に「影響が大きかった」と騎手もお手上げ…弟はまさかの競走中止、複数が不運に巻き込まれた天皇賞・春(G1)の大惨事
4月30日、センテニアル・パークとして生まれ変わった京都競馬場で行われた天皇賞・春(G1)を制したのは、2番人気のジャスティンパレス。6度目のG1挑戦が実を結んだ新王者に対し、昨年に続く連覇を狙ったタイトルホルダーは、2周目の坂の下りで失速。単勝オッズ1.7倍の大本命には、競走中止という厳しい結末が待ち受けていた。
また、競走中止となった馬はそれ以外にもう1頭いた。先手を主張したタイトルホルダーに競りかけてレースの主導権を奪ったアフリカンゴールドだったが、心房細動を発症したため、1周目の直線でズルズルと後退してしまった。
昨年のディフェンディングチャンピオン相手に強気な作戦に出たことにより、スローペースを味方に好走していたアフリカンゴールドにとって過酷な展開となったことは、想像がつくものの、思わぬアクシデントに見舞われてしまったことは非常に残念である。
返し馬の段階で硬さが見られたというタイトルホルダーだが、アフリカンゴールドからハナ争いを挑まれたことも、全く影響がなかったとは言い切れないだろう。
これに対し、アフリカンゴールドによる競走中止の被害が直撃したのは、メロディーレーンだ。
オルフェーヴル産駒の本馬はメーヴェが母であり、ドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーの半姉に当たる血統。336キロという小さな体で懸命に走る女の子に魅せられたファンも多く、天皇賞・春には354キロで出走していた。
だが、道中で内目を追走していたメロディーレーンは、前方から後退してきたアフリカンゴールドに巻き込まれるような格好で後退。レースは何とか完走して12着に入ったとはいえ、小柄な馬にとってはあまりにも大き過ぎる不利だった。
これには鞍上の幸英明騎手も「2コーナーでの影響が大きかったです。まともに引っ張ってしまいましたからね」と悔いの残るコメント。結果的に姉弟揃って不完全燃焼に終わった天皇賞・春となってしまった。
その一方、今年の天皇賞・春でアクシデントが多発したことは少々気になる。開催場所が京都競馬場ということもあり、かつてのライスシャワーの悲劇を思い出したファンがいたかもしれない。
先述のタイトルホルダー、アフリカンゴールド以外にも、トーセンカンビーナがレース中に左前浅屈腱不全断裂を発症。10着のヒュミドールについても左前脚の骨折が判明したばかり。出走した馬に競走馬の故障や不利があったことは大惨事ともいえるが、とにもかくにもグランドオープンして最初のG1で、安楽死という最悪の事態を避けられたことは、不幸中の幸いだった。