【オークス(G1)展望】リバティアイランドに「意外な」距離の壁!? 逆転候補は「府中2400m最強厩舎」が手掛けるアノ馬!

リバティアイランド 撮影:Ruriko.I

 3歳の若き乙女たちが過酷な府中の芝2400mに挑む――。21日、東京競馬場では牝馬クラシック第2弾のオークス(G1)が行われる。

 今年は世代牝馬No.1の評価を受け続けてきたリバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)が出走。デアリングタクト以来、3年ぶりの牝馬クラシック三冠達成にも期待がかかる。

 2戦目のアルテミスS(G3)こそ最後の直線でスムーズさを欠いて2着に惜敗したリバティアイランドだが、その後はG1を2連勝中だ。

 阪神ジュベナイルF(G1)は中団追走から外へ出されて2馬身半差の快勝。4か月の休み明けで臨んだ前走・桜花賞(G1)はスタートから馬が進んでいかず、4角では後方から3番手の厳しい位置取りだった。しかも先行馬が上位に残る展開だったが、大外に持ち出されると直線だけで15頭をごぼう抜き。上がり3ハロン32秒台の瞬発力を発揮して桜の女王に輝いている。

 オークスを大本命として迎えることになるリバティアイランドだが、死角が全くないわけではない。

 デビューから4戦はすべて1600mを使われており、他のライバル馬と同様に2400mは未経験。父がダービー馬ドゥラメンテなので、距離が延びてさらにパフォーマンスを上げる可能性もあるが、マイル戦での圧倒的なパフォーマンスを見る限り、2400mがベストとは決していえないかもしれない。

 しかも管理する中内田厩舎はG1・6勝をすべて阪神の1600m戦で挙げているように、マイラー気質の馬が多いのも周知の事実。これまでJRAの平地重賞を33勝しているが、そのすべてを2000m以下で挙げている。

 2000mを超える重賞では18戦0勝の成績が残っており、G1でもダノンプレミアムが日本ダービー1番人気で6着、ヴェロックスが菊花賞1番人気で3着、アートハウスがオークス2番人気で7着など、結果が出ていない。果たして、リバティアイランドは厩舎が抱える“距離の壁”を乗り越えることができるのか。その走りに注目が集まる。

ハーパー 撮影:Ruriko.I

 打倒リバティアイランドの筆頭は、桜花賞4着からの巻き返しを図るハーツクライ産駒のハーパー(牝3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。

 昨年11月に牡馬相手の2000m戦でデビュー。1番人気に推された初戦は、4角で外へ膨れるロスがありながら、クビ差の2着に好走した。

 その後はマイル路戦に転じ、未勝利戦、クイーンC(G3)を連勝。続く桜花賞では3番人気に支持されたが、上位3頭からやや離れた4着に敗れた。しかし、陣営が「エンジンのかかりが遅かったので、距離が延びていいタイプだと思います」と話していたように2400mへの距離延長はプラスに働くだろう。

 特に府中の2400mは友道調教師が得意とする舞台。現役の調教師では矢作芳人師らと並ぶ最多のG1・4勝をこのコースで挙げている(ダービー3勝、ジャパンC1勝)。

 距離に一抹の不安が残るリバティアイランド陣営に対して、中長距離の大レースでは勝負強さを見せる友道厩舎だけに桜花賞4着からの逆襲があっても驚けない。

 引き続き騎乗予定のC.ルメール騎手も前走後に「距離が延びたらいいと思います。体はまだ良くなりそうです」と話しており、舞台替わりでの大駆けを狙っているはずだ。

コナコースト 撮影:Ruriko.I

 コナコースト(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)は、桜花賞で2番手から運ぶ積極策で6番人気ながら2着に食い込んだ。

 デビュー戦を勝利後はエルフィンS(L)、チューリップ賞(G2)、そして前走と2着が続いているが、常に人気以上の着順に入っている点は見逃せない。また1800m戦でデビューしたように距離適性はマイルよりも中距離の可能性が高いだろう。父がキタサンブラックなら2400mも十分に守備範囲だ。

 ただし、デビュー2戦目から減り続けている馬体重が不安要素の一つ。昨年8月に472kgでデビューしたコナコーストだが、3戦連続のマイナス馬体重で、前走は454kgまで減っていた。今回は初となる関東圏への長距離輸送も控えており、馬体の維持が大きなカギとなるだろう。

 鞍上は鮫島克駿騎手に替わってD.レーン騎手が務める。豪州が誇る名手だが、5月に入ってからはややチグハグな騎乗も目立っているだけにこの乗り替わりが果たしてどう出るか。


 続いては別路線組から3頭の名前を挙げておきたい。

 まずは前哨戦のフローラS(G2)を逃げ切ったゴールデンハインド(牝3歳、美浦・武市康男厩舎)だ。

 前走は7番人気の人気薄でマークもそれほど厳しくなかったが、長い府中の直線で最後まで後続勢に並ばせず。勝ちタイムの1分58秒9は、レースレコードを叩き出した3年前のウインマリリンと0秒2差という非常に優秀な時計でもあった。

 これまで逃げたときは3戦3連対と崩れておらず、今回も単騎逃げの形になれば、スイスイと粘り込むシーンがあってもおかしくないだろう。鞍上は前走に続き、5年目の菅原明良騎手が務める。


 フローラSでゴールデンハインドの2着に入ったのがソーダズリング(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。

 未勝利戦を勝ち上がって臨んだ前走は道中好位を追走。直線ではインを突いてじわじわと伸びてきたが、ゴールデンハインドを捉えることはできなかった。

 この馬もハーパーと同じハーツクライ産駒で、前走から400mの距離延長は歓迎のクチだろう。半姉のマジックキャッスルは20年オークスで5着に好走。秋華賞(G1)では2着に食い込むなど、牝馬三冠路線で活躍した。

 鞍上はデビューから2戦で手綱を取った武豊騎手と再コンビ。エアグルーヴで制した1996年以来のオークス4勝目を狙う。


 別路線組の3頭目として取り上げたいのは、メンバー唯一の無敗馬としてレースに臨むミッキーゴージャス(牝3歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。

 2月小倉の未勝利戦で既走馬相手に勝ち上がると、2戦目となった4月の1勝クラス(牝馬限定)も快勝。メンバーレベルは一気に上がるが、血統的背景から激走に期待がかかる。

 父は新種牡馬のミッキーロケットで、母は15年のオークスと秋華賞を勝ったミッキークイーンという「ミッキー軍団」の宝と呼べる存在。ダイナカール&エアグルーヴ以来の母娘によるオークス制覇はなるか。

 最後は桜花賞から巻き返しを図る4頭をピックアップする。

ペリファーニア 撮影:Ruriko.I

 ペリファーニア(牝3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)は、桜花賞で3頭いたキャリア2戦の馬の中では最先着となる3着に好走。今回は初の左回りをこなせればここでも上位争いは可能だろう。

ドゥアイズ 撮影:Ruriko.I

 桜花賞5着のドゥアイズ(牝3歳、栗東・庄野靖志厩舎)はデビュー6戦目で初の馬券圏外に敗れたが、折り合いに不安がない馬だけに2400mへの距離延長を味方にできそうだ。

 シンリョクカ(牝3歳、美浦・竹内正洋厩舎)は、阪神JF2着以来で桜花賞6着なら上出来。父が菊花賞馬のサトノダイヤモンドなら、この馬も距離延長はプラスとなるだろう。

 逆に桜花賞で2番人気に推されるも折り合いを欠いて8着に沈んだライトクオンタム(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)は距離延長が大きな課題。今回は大きく人気を落としそうだが、新コンビを組む田辺裕信騎手の無欲の騎乗で巻き返しはあるか。

 全馬が初めての経験となる過酷なレース。2400m先のゴールを先頭で駆け抜けるのはリバティアイランドか、ハーパーか、それとも別路線組か。注目のオークスは21日、15時40分に発走を予定している。

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