「4勝5敗」の大本命は意外にもオークスが苦手? アドマイヤグルーヴ、ダンスインザムード、ハープスターも不覚…裏切った馬に共通する敗因とは
21日に東京競馬場で行われるオークス(G1)は、早くも牝馬二冠の懸かるリバティアイランドで断然のムード。桜花賞(G1)を究極の切れ味で制した才媛の二冠は、ほぼ間違いなしという雰囲気も漂いつつある。
本馬の主戦を任される川田将雅騎手は、現在騎手リーディングのトップを独走中だ。前走の阪神から直線の長い東京へと舞台が替わることも、鋭い末脚を武器とする桜の女王にとって好材料。17日現在、『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズでも1.5倍に支持されており、おそらく当日も圧倒的な1番人気になることが予想される。
ただキャリアの浅いこの時期の3歳牝馬のレースとあって、大本命に推された馬が敗れるケースも決して珍しくないのが、このオークスだ。
過去には上位人気に支持された馬が、思わぬ不覚を取ってしまう事象も少なからずあった。クラシック一冠目の桜花賞が阪神の芝1600mで行われるのに対し、二冠目のオークスは距離も2400mとなり、一気に800mも延びる。コースも距離も異なるだけに、注意が必要だ。
そういった意味では、リバティアイランドに騎乗する川田騎手にしても、かつて騎乗したハープスターで単勝1.3倍の圧倒的人気を背負いながら、一足先に抜け出していたヌーヴォレコルトに惜敗した経験の持ち主。終わってみたらやっぱり1強だったという可能性も十分に考えられるものの、何が起きても驚けないのも競馬である。
そこで今回は、2000年以降のオークスで大本命に推された馬たちの成績を振り返ってみたい。以下は、その成績とオッズだ。
■2000年以降のオークスで1倍台に支持された馬の成績(敬称略)
01年 テイエムオーシャン、3着、本田優、1.8倍(桜花賞、秋華賞)
03年 アドマイヤグルーヴ、7着、武豊、1.7倍
04年 ダンスインザムード、4着、武豊、1.4倍(桜花賞)
05年※シーザリオ、1着、福永祐一、1.5倍(米オークス)
09年※ブエナビスタ、1着、安藤勝己、1.4倍(桜花賞)
14年 ハープスター、2着、川田将雅、1.3倍(桜花賞)
18年※アーモンドアイ、1着、C.ルメール、1.7倍(牝馬三冠)
20年※デアリングタクト、1着、松山弘平、1.6倍(牝馬三冠)
21年 ソダシ、8着、吉田隼人、1.9倍(桜花賞)
こうして確認してみると、単勝1倍台の馬にもかかわらず、意外なことにその勝率は5割を下回る4勝5敗というものだった。過去に敗れた馬たちがこれだけいることを考えると、最初からリバティアイランドで絶対と決めつけてしまうことには怖さもある。
結果論になるとはいえ、あえて大本命を裏切ってしまった馬の敗因のひとつとして挙げられそうなのは、マイラー色の強かったテイエムオーシャン、ダンスインザムード、ソダシらのケースや、後方からの競馬で末脚が不発に終わったアドマイヤグルーヴやハープスターなどのケースだ。
桜花賞でただ1頭、上がり3ハロン32秒台の鬼脚を披露し、ライバルにモノの違いを見せつけたリバティアイランド。重箱の隅をつつくような懸念かもしれないが、未経験の距離でスタミナ不足を露呈したり、東京の長い直線を生かし切れず、先行勢を捉え切れないケースも頭の片隅に入れておきたい。