リバティアイランド「魔の5番枠」はギリギリアウト? アーモンドアイ、ブエナビスタ級なら吉兆も…2000年以降のオークス勝利はただ1頭

リバティアイランド 撮影:Ruriko.I

 今週末は、桜花賞(G1)を圧倒的な強さで制した桜の女王リバティアイランド(牝3、栗東・中内田充正厩舎)の二冠に注目が集まるオークス(G1)が東京競馬場で開催。先行勢の好走が顕著だった前走は、最後の直線を16番手の後方から目の覚めるような末脚で突き抜けた。

 道中をインで運んだ馬に有利だった馬場傾向の中、絶好の枠に思えた2枠3番を引いていたにもかかわらず、ズルズルと下がっていく姿に悲鳴を上げたファンも少なくなかっただろう。

 これには鞍上の川田将雅騎手もレース後のコメントで「ゲートが開いてからあまり進む気がなかった」と振り返っていたように戸惑った様子。「彼女が自分でそういう走りを選択しましたので仕方がない」と腹を決めてからは、「彼女を信じて動いてもらうだけ」だったとはいえ、内心はハラハラドキドキだったに違いない。「ホッとしています」という言葉に偽りはなかったのではないか。

 二冠の懸かるオークスは、距離も800m延びる芝2400mが舞台。スピードが優先されるマイル戦だった前走より、追走も楽になるはず。後はパートナーの力を信じて長い直線の府中で末脚を炸裂させるだけだ。

 ただ、またしても内枠を引き当てたことがどうなるか。2枠3番からスタートした桜花賞に対し、オークスは3枠5番。これほど力の抜けた存在なら、前走と同じく一度後ろに下げてからの大外一気という可能性もある。

 その一方、先週のヴィクトリアマイル(G1)が、内前に位置していた馬で決着したように、ペース次第で後方で脚を溜めた馬には、スローペースで末脚が不発に終わる可能性もある。既に絶対女王の雰囲気すら漂うリバティアイランドだけに、不利さえなければ一笑に付してしまうかもしれないが、そこはまだ幼さの残る3歳牝馬。「競馬に絶対はない」という格言は今も昔も変わらない。

「魔の5番枠」はギリギリアウト?

 あえて重箱の隅をつつく材料があるなら、2000年以降のオークスで5番枠に入った馬の成績が思わしくないことだろうか。過去23年の歴史を振り返ってみると、勝利を挙げていたのは2000年のシルクプリマドンナのみ。さしずめ“魔の5番枠”といったところだ。

 本馬は桜花賞3着から巻き返しに成功した馬で、手綱を取ったのは前走に引き続き藤田伸二元騎手。ハナに立ったレディミューズが絶妙なスローペースに落とした流れを、直線6番手から抜け出して快勝した。

 2着に桜花賞馬チアズグレイスが入り、3着にはそのまま2番手から流れ込んだオリーブクラウンで、この馬は18頭中の16番人気の上に単勝オッズも139.2倍と超人気薄。いわゆる超スローの前残りを味方に激走した。当時まだ3連複や3連単の発売前だが、もし発売されていたらおそらく万馬券だったに違いない。

 20年以上勝利の前例がなかった上に、唯一の例外が超スローの前残りと、リバティアイランドにとっては歓迎できないデータとなったが、心強い前例もあったので触れておきたい。

 末脚不発を危惧するファンに朗報なのは、2009年のブエナビスタと18年のアーモンドアイの存在だ。実はこの優勝馬2頭には共通点があり、どちらも桜花賞を最後の直線で16番手の後方から差し切り勝ちを決めている。

 歴史的な名牝だけに、枠や位置取りに左右されないだけの実力を誇示した訳だが、もしリバティアイランドも彼女らに匹敵するスケールの持ち主だったなら、枠や展開を気にする必要はないのかもしれない。

 後は当日に出される答えを待つばかりである。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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