日本ダービー「69年ぶり」テン乗り制覇の裏で涙をのんだ前任騎手…「この馬の能力を出せず申し訳ありません」ドン詰まり不完全燃焼のリベンジへ
先月28日の日本ダービー(G1)は、好位4番手から力強く抜け出したタスティエーラが優勝。手綱を取ったD.レーン騎手は69年ぶりとなるテン乗りでのダービー制覇をやってのけた。
テン乗りの馬が苦戦していた過去のジンクスについて、オーストラリアの名手は「全く聞いたことがなかった。もし知っていてもジンクスは信じないし、気にしなかったですね」と、さらりと言ってのけた。このコンビが再び見られる日を楽しみに待ちたいところだ。
その一方で、悔しい思いをしたのがタスティエーラの前任を務めていた松山弘平騎手であることは想像に難くない。
初騎乗となった弥生賞ディープインパクト記念(G2)で1着に導くと、皐月賞(G1)でもあと一歩の2着。手綱を取った2戦でともに人気を上回る結果を残したのだが、外国人騎手を重用する堀宣行厩舎の管理馬ということもあってか、レーン騎手に乗り替わりとなってしまった。
ただ松山騎手もダービーにはデビュー戦からコンビを組み続けているハーツコンチェルトと参戦。スローペースを察知して向正面でポジションを上げ、最後の直線でも差を詰め、クビ+ハナ差の3着に善戦した。力があるところは示したものの、レース後には「悔しい気持ちでいっぱいです」と話している。
「スタートが出負け気味だったハーツコンチェルトの好走には、松山騎手の好判断も大きかったと思います。
ただ、優勝したタスティエーラは、自身が前走で騎乗していただけに、もしコンビを継続していたらダービージョッキーの称号を手にしていたかもしれません。松山騎手の胸中は複雑だったでしょうね」(競馬誌ライター)
とはいえ、松山騎手ほどの一流ジョッキーであればすでに気持ちを切り替えていることだろう。3日、阪神競馬場で開催される鳴尾記念(G3)には紅一点のマリアエレーナ(牝5歳、栗東・吉田直弘厩舎)とのコンビで挑む。
同馬とはこれまで7戦3勝。昨夏には小倉記念(G3)を5馬身差で圧勝したように、好相性と見て間違いないだろう。
ただ、2番人気で挑んだ今年3月の金鯱賞(G2)では、最後の直線で前が壁になるなど進路を失ってしまい8着。レース後には松山騎手が「この馬の能力を出せず申し訳ありませんでした」と謝罪のコメントまで残している。
そんな背景があるだけに、再コンビが叶った今回はリベンジにかける意気込みが強いに違いない。
「大阪杯(G1)のマリアエレーナは陣営が『負ける気がしない』と強気な発言をしていたことでも話題を集めましたが、5着に敗れてしまいました。好スタートを切ったものの、すぐに中団まで下げてしまったのが惜しまれます。このときコンビを組んでいた浜中俊騎手の騎乗に関しては、元JRA騎手の安藤勝己氏もTwitterで『勿体なかったのはマリアエレーナ』など苦言を呈していました。
それから2ヶ月ぶりの実戦になるマリアエレーナですが、最終追い切りを終えた後に陣営は『順調にきている』『時計的にも問題ない』と話すなど、今回も強気の姿勢でいるようです」(同)
乗り替わりで勝たれてしまったダービー、そしてドン詰まりで不完全燃焼に終わってしまった金鯱賞の鬱憤を晴らすような騎乗を松山騎手に期待したいところだ。