「G1・14勝」の名伯楽が日本ダービー制覇のラストチャンス!? ドウデュースと接戦演じた素質馬の弟が東京で初陣!
来年のクラシックに向けて、先週から2歳戦が始まった。
今週は東京・阪神に函館も加わって3場開催となり、土日の2日間に計6つの新馬戦が組まれている。この中で特に激戦が予想されるのは、11日の東京5R・2歳新馬(芝1800m)だろう。
9頭がエントリーした一戦で前評判が高いのは、22年1歳セレクトセールで4億9500万円(税込)の高値を付けたダノンエアズロック(牡2、美浦・堀宣行厩舎)だ。今年の日本ダービー(G1)を制したタスティエーラと同じ堀宣行厩舎×D.レーン騎手の黄金タッグが初陣Vを見据えて登場する。
これに続く注目馬は、スワーヴリチャードの初年度産駒シトラール(牡2、美浦・萩原清厩舎)。兄姉にポタジェとルージュバックがいる良血で、こちらはC.ルメール騎手が手綱を取る。
この2頭には期待値で劣るものの、より初戦向きなのはキズナ産駒のサンライズジパング(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)だろう。
何といっても調教での動きが絶品だった。1週前の栗東坂路で、この日の2歳馬では最速となる51秒1-12秒0の好時計をマークすると、7日の最終追い切りでも全く同じ51秒1-12秒0を叩き出した。しかも、どちらも加速ラップを踏んでいるというから驚きだ。
ただし、坂路でこれだけの好時計を連発したとなると、不安なのが距離だろう。マイラー寄りの可能性もありそうだが、『優馬』の取材によると、陣営からは「芝の長めの距離が合いそう」とのコメントが出ており、不安は杞憂に終わりそう。この距離で強豪2頭をあっさり撫で斬るようなら、来春に向けての期待は大きく膨らむだろう。
また、サンライズジパングのもう一つの魅力が血統だ。半兄のグランシエロは2歳秋のアイビーS(L)でドウデュースと接戦を演じ、クビ差の2着。また、3歳春には青葉賞(G2)で4着と早い時期から活躍していた。兄の実績から東京コースが合うのは間違いないだろう。
そんなサンライズジパングに誰よりも期待を寄せているのは、管理する音無調教師かもしれない。関西を代表する名伯楽も今月10日に69歳となる。25年の2月に定年を迎えるため、来年のクラシックがラストチャンスとなる。
これまでヴィクトリーで皐月賞(G1)を、オウケンブルースリで菊花賞(G1)を勝っている音無師だが、日本ダービー(G1)は未勝利。過去7頭を送り出しているが、19年に1番人気に支持されたアドミラブルの3着が最高着順である。
G1・14勝の名伯楽にとって“ダービートレーナー”の称号は悲願でもある。先週の安田記念(G1)を勝利したソングラインと同じ戸崎圭太騎手×キズナ産駒から新たな大物候補誕生はなるか。