【函館記念(G3)展望】武豊ドーブネVS横山武史アラタ「函館第2ラウンド」の行方は!? C.ルメールはセントライト記念3着の素質馬と虎視眈々

ドーブネ 撮影:Ruriko.I

 16日、函館競馬場ではサマー2000シリーズ第2弾の函館記念(G3)が行われる。函館最終週の馬場を味方につけ、勝ち名乗りを上げるのは果たしてどの馬か。例年以上に今年は巴賞(OP)からの転戦組にも注目が集まりそうだ。

 2日の巴賞で2着に入ったドーブネ(牡4歳、栗東・武幸四郎厩舎)は、中1週でこの夏の2戦目を迎える。

 その前走は札幌で新馬戦を勝ち上がった洋芝実績も評価されて、堂々の1番人気に推されたが、惜しくも2着に敗れた。

「レース内容は良かったと思います。3番手できれいに折り合って、収穫はありました」

 レース後、ドーブネのレースぶりをそう振り返ったのは武豊騎手だ。しかし「収穫はありましたが、伸び切れないですね。そう思って早く行ったのですが……」と、早めに動くも、勝ち切れなかったことにはやや不満もあった様子だ。

 それでも新馬戦Vに続く好走で、洋芝適性の高さは示したドーブネ。中1週のローテーションにはなるが、滞在調整なら状態は維持できるだろう。4度目の挑戦で重賞初制覇も見えてくる。

 過去3度の重賞は朝日杯フューチュリティS(G1)7着、スプリングS(G2)6着、そして今年2月の中山記念(G2)3着と、G2以上のレースで着実にステップアップしている。G3ならあっさり勝利を飾っても不思議はない。

 2021年の千葉サラブレッドセールにて藤田晋氏が5億円超の大枚をはたいて競り落としたディープインパクト産駒がこれまでに獲得した賞金は約1億円。元を取るにはまだまだ遠い道のりだが、ここで1着賞金の4000万円超を加算して充実の秋に備えたい。


 そのドーブネを巴賞で破り、函館での通算成績を4戦3勝としたのがアラタ(牡6歳、美浦・和田勇介厩舎)だ。

 その前走は道中でドーブネをマークするように4番手を進み、ゴール前で図ったように差し切った。久々の勝利は、4連勝で制した21年9月のケフェウスS(OP)以来となるオープン特別2勝目となった。

 2つの勝利に挟まれた1年10か月の間は、ローカルのハンデ戦を中心に出走していたアラタ。福島記念(G3)での2年連続3着や、今年3月の金鯱賞(G2)での3着など、中距離戦では安定した走りを披露している。

 そんなアラタが唯一函館で凡走したのが昨年の当レースだった。マイネルウィルトスに次ぐ2番人気に推された一戦で、レース序盤は勝ち馬のハヤヤッコとほぼ同じ位置取り。しかし、早めに進出していった勝ち馬に比べて道中の手応えは今一つで、最後の直線でも伸びを欠き、6着に敗れた。

 コンビを組んだ横山武史騎手は「馬場がイレギュラーすぎました」と、かなり時計を要する荒れた重馬場を敗因に挙げていたが、今年も昨年と同じ最終週の開催。しかも週明けから週末にかけて傘マークが並んでおり、2年連続で荒れた道悪馬場で行われる可能性が高そうだ。

 区切りの10度目重賞挑戦で初Vを挙げるためにも、横山武騎手は昨年の経験を糧にしたいところ。58kgを背負ってドーブネを破った実力馬が2連勝で函館王者の座に就くことができるか。

ローシャムパーク 撮影:Ruriko.I

 巴賞1~2着馬にとって最も怖い存在となるのはローシャムパーク(牡4歳、美浦・田中博康厩舎)だろう。

 同馬は、昨秋のセントライト記念(G2)でアスクビクターモアに次ぐ2番人気に支持された逸材。その一戦は、C.ルメール騎手を背に中団から直線勝負に懸けたが、先に抜け出したガイアフォースとアスクビクターモアからやや離れての3着に敗れた。それでもセイウンハーデスやラーグルフといった実力馬には先着し、力のあるところを見せた。

 その後は仕切り直しの一戦となった年明けの2勝クラスを一発回答すると、スピカS(3勝クラス)5着を挟んで迎えたのが日本ダービー(G1)当日のむらさき賞(3勝クラス)。ここでは実力馬グランディアを差し切って、クラス2戦目で難なくオープン入りを決めた。

 同レースで手綱を取ったのはD.レーン騎手。レース後には「(最後の直線で前が)開いてからは素晴らしい瞬発力でした」とコメントしており、この馬の持ち味は鋭い切れ味。初めての洋芝がマッチするかは未知数ではあるが、ここで好走できるようなら今後の選択肢も広がるだろう。今回は鞍上にセントライト記念以来となるルメール騎手を配して、賞金加算をもくろむ。

ハヤヤッコ 撮影:Ruriko.I

 昨年の当レースで3歳夏のレパードS(G3)以来となる重賞Vを飾ったハヤヤッコ(牡7歳、美浦・国枝栄厩舎)。そのレースでは、初角10番手以下の後方待機組が2~5着を占める中、初角6番手、4角では2番手の積極策で押し切る強い内容だった。今年も昨年と同じく時計を要する馬場になれば連覇の可能性も十分あるだろう。

 前走・垂水S(3勝クラス)を勝って待望のオープン入りを果たしたアルナシーム(牡4歳、栗東・橋口慎介厩舎)。デビュー当初は武豊騎手をもってしても制御が利かず、暴走するなど課題の多い馬だった。それでも朝日杯FSで4着に入るなど素質は重賞級。気性的に成長した今なら不安より楽しみの方が大きい。

 この他には、2年前の宝塚記念(G1)2着馬で、3歳時に函館で2戦2勝の良績を残したユニコーンライオン(牡7歳、栗東・矢作芳人厩舎)、昨夏の函館でデビュー9戦目にして初勝利を飾ると、そこから6戦4勝の安定した走りを見せこれが昇級初戦のブローザホーン(牡4歳、美浦・中野栄治厩舎)、1年ぶりに実戦復帰を果たす昨年の2着馬マイネルウィルトス(牡7歳、栗東・宮徹厩舎)も状態次第で首位争いは可能だろう。

 今年は巴賞で接戦を演じたドーブネとアラタが再び上位を賑わすのか。それともローシャムパークが2頭の間に割って入るのか。注目の函館記念は16日、15時45分に発走予定となっている。

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