セレクトセールで「札束の殴り合い」!? 父ディープインパクトでさえ7.2%……「億超え」コントレイル産駒を待ち受ける難題

撮影:Ruriko.I

 10~11日の2日間にわたって北海道苫小牧にあるノーザンホースパークで行われたセレクトセールは大盛況のうちに終了。1歳と当歳、両セールの総落札額は史上最高となる281億4500万円を記録した。

「総落札額は驚きに近い数字ですね」

 当歳のセリ終了後にそうコメントしたのは日本競走馬協会会長代行を務める社台ファームの総帥・吉田照哉代表だ。

 吉田氏が「どうせ馬を持つなら高くていい馬を持ちたいという方がここに来られて、すごい競りになったと思います」と語ったように、ほんの数秒の間に数百万円単位の金額が釣り上がっていく様は我々庶民にとってまさに別世界。セリの最中には「札束の殴り合い」がトレンド入りするなど、SNS上でも大盛り上がりを見せた。

 そんなセレクトセール2日目に最も注目を浴びたのは、20年に無敗の三冠馬に輝いたコントレイルの初年度産駒だろう。今年生まれた当歳馬20頭が上場されたが、そのうちの9頭が1億円(税込)以上の落札額で取り引きされた。

「億超え」コントレイル産駒を待ち受ける難題

「ノースヒルズが5億円以上で購買したコンヴィクション2の2023を筆頭に、“億超え”ホースが9頭も誕生しました。4年前に天国に旅立った父ディープインパクトの後継種牡馬の大本命として、期待の高さがうかがえる結果となりましたね。

ただ、1億円というと、重賞を1つ勝つくらいでは元を取ることも難しい額です。5億円ホースともなると、G1を2つ3つ勝たなければペイできません……。

父のディープインパクトも種牡馬としてセリで億超えの産駒を次々と輩出しましたが、“元を取った”のは数えるほど。未勝利のまま引退する馬も決して少なくありませんでした」(競馬誌ライター)

 実際、セリで1億円以上の価格で取り引きされ、後にJRAで走ったディープインパクト産駒は125頭いるが、落札額を上回る賞金を稼いだのは9頭だけ。率にしてわずか7.2%という厳しい数字が残っている。

「中にはまだ現役馬もいるため、この数は増える可能性もありますが、これほどの億超えホースがいても苦戦していますからね。今年1億円以上の値を付けたコントレイル産駒にしても、将来的に元を取れるのは1頭いるかどうかということもあり得ますね」(同)

 一方で、ディープインパクトの億超えホース125頭のうち、JRAのレースを1つも勝つことができなかった馬は28頭もいた。元を取った馬に比べると、その数は2倍にも上る。

 馬主の中でも、セレクトセールで「札束の殴り合い」ができるような馬主は極めて限られた存在だ。それでも2年後、3年後の日本ダービー(G1)制覇を夢見るからこそ将来有望な良血馬、期待馬に億単位の額を費やすのだろう。

 今年落札されたコントレイルの億超えホースたちは、順調なら今から2年後に競走馬としてデビューを迎える。果たして馬主の期待に応えるような活躍を見せてくれるだろうか。

GJ 編集部

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