「指示通り乗ったけど、逃げれば勝ってた」横山“武史節”炸裂! 戒告C.ルメール「開き直り」発言に怒り心頭?
先週末に開幕初週を迎えた札幌では、横山武史騎手が合計5勝の大暴れ。C.ルメール騎手と並んで開催トップに立ち、2年連続の札幌リーディングジョッキーがいきなり貫録を見せつけた格好だ。
そんな勢いに乗る横山武騎手といえば、良くも悪くも正直者。歯に衣着せぬコメントでも有名だ。
ウインマリリンと挑んだ一昨年のエリザベス女王杯(G1)の共同会見で、1週前追い切りの状態を聞かれた際「きっぱりと言っちゃうんですけど、状態がかなり悪かった」と関係者を青ざめさせたのは、この若武者の象徴的なエピソードの1つと言えるだろう。
結果的にウインマリリンは16着に大敗。レースでは早々に追うのを諦め、ゴール直後に下馬して相棒の様子を確かめた横山武騎手は「今日乗ったのはマリリンじゃなかった」と陣営をバッサリ……。馬券を買うファン目線で見れば、これだけ正直に話してくれるジョッキーは頼もしい限りだろう。
しかし、この日の横山武騎手はいつにも増して“キレッキレ”だったようだ。
札幌開幕初日となった前日に3勝を挙げ、上々のスタートを切った横山武騎手。5Rの新馬戦までに2勝を上積みしたこの日は「一体、どれだけ勝ちまくるのか」と期待されたが、その後は失速……。5連敗で開幕初週を終えている。
そんな中、1番人気で敗れた大倉山特別(2勝クラス)のパーティーベルについて「今日は歩様が硬くて、本調子にはもう一息」と体調面の問題を指摘すれば、同じく1番人気で敗れたしらかばS(OP)でもカンティーユについて「返し馬から左トモが良くなかった。いい状態の6割程度」とバッサリ……。
ある意味“らしい”と言えばらしいコメントだが、体調面を調整するのは主に厩舎の仕事だ。見ようによっては陣営批判にも捉えられてもおかしくない。
そして、そんな横山武騎手“らしさ”が全開になったのが、ミズノコキュウと挑んだHBC賞(2勝クラス)だった。
芝1200mで抜群のスタートを決めたミズノコキュウだったが、シロンがハナを主張したこともあって横山武騎手は無理せず内々の番手で折り合いをつける競馬。しかし、結果的にこれが仇となってしまう。
最後の直線に入り、あとは前を交わすだけだったが、外からナリタローゼに被せられて行き場を失うアクシデント……。最後はなんとか馬群をこじ開けたものの、先に抜け出したエイシンフェンサーが半馬身前にいた。
鞍上にとっては悔しい2着となったが、抜群のスタートを決めながらもハナを主張しなかったのは、どうやら陣営の指示だったようだ。
横山“武史節”炸裂!
しかし、結果的に作戦が裏目に出たこともあって、レース後には「溜めてほしいとの指示だったのでこういうレースをしたが、逃げれていればおそらく勝っていたと思う」と、他のジョッキーからはまず聞かれることのないであろう“武史節”を炸裂させている。
「お父さんの横山典弘騎手に似て、普段から歯に衣着せぬコメントをする横山武騎手ですが、この日は特に“切れ”てましたね。先週、4年連続が懸かっていた函館リーディングで2年目の佐々木大輔騎手に競り負けてしまったこともあってか、最近はちょっとピリピリムードでした」(競馬記者)
記者が「これが引き金になったかはわからないけど……」と話したのは、「見ての通り、1コーナーで絶望的な不利がありました」と横山武騎手が振り返った5Rの2歳新馬戦だ。
6頭立てで比較的落ち着いた序盤に思われたレースだったが、1コーナーに差し掛かった際にルメール騎手のカズアブディーンが物見をし、外に大きく膨らんでしまうアクシデント……。
巻き込まれてしまったのが、偶然外にいた横山武騎手とステレンボッシュとのコンビだった。
幸い「大きなダメージがなく勝つことができてよかったです」と本人が話した通り、今開催5勝目を手にした横山武騎手。だが、不可抗力だったとはいえ、加害馬の鞍上は開幕週から同じく5勝とデッドヒートを繰り広げたルメール騎手だ。
そんな目下のライバルが「1コーナーのロスがなければ勝っていたと思う」と強気なところを見せれば、横山武騎手としても思うところがあったかもしれない。なお、ルメール騎手は本件でJRAから戒告処分を受けている。
結局、札幌開催週は横山武騎手・ルメール騎手ともに5勝ずつの痛み分け。ただ、開催24レースの半数近くを2人に持っていかれては、他のジョッキーは堪ったものではないだろう。
今年の札幌は、例年以上に“熱い”夏を迎えそうだ。