キングジョージで未だ破られていないハービンジャーの偉大な記録!英愛ダービー馬オーギュストロダンが挑戦

競馬つらつらより

 日本時間29日にアスコット競馬場で開催されるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1、以下キングジョージ)。本レースはイギリスダービー(G1)、凱旋門賞(仏G1)と同じく欧州三冠レースの1つである。ここ数年は少頭数で争われたが、今年は久しぶりに頭数が揃いそうだ。

 キングジョージは、英国の上半期における中距離路線のチャンピオン決定戦だ。日本馬は、これまで6頭が挑戦したが、2006年ハーツクライの3着が最高。タフなコースだけに起伏の少ない馬場に慣れた日本馬には少し厳しい部分があるのかもしれない。そんな難関を2010年に勝利したのが、現在ノーザンファームで供用中のハービンジャーである。

2つの大記録を樹立

 2006年に英国で生まれたハービンジャーは、父にフランスの重賞馬ダンシリ、母の父にフランスで活躍したベーリングを持つ純仏血統である。現役時代は英国のM.スタウト厩舎に管理された。

 重賞3連勝で初のG1出走となった2010年のキングジョージでハービンジャーは、外から追い上げた最後の直線で異次元の走りを見せた。先頭に立つと他馬を置いてきぼりにする11馬身差の圧勝は、同レース創設以来の最大着差ともなった。また35年振りとなるコースレコードも樹立し、G1初挑戦初勝利の快挙を成し遂げた。

 その後2013年にドイツのノヴェリストにコースレコードを更新されたものの、2着馬に付けた「11馬身差」は未だ破られていない大記録となっている。

今年はオーギュストロダンに絶好のチャンス?

 英国大手のブックメーカー、ウィリアムヒル社の想定オッズで1番人気となっているオーギュストロダン(牡3、愛・A.オブライエン厩舎)だが、出走すれば絶好のチャンスとなる。

 なぜなら、キングジョージの負担重量は古馬が61キロに対して3歳馬は5キロも軽いからだ。牝馬はそれらより1キロ減となるが、それでも古馬牝馬で60キロを背負うことになる。一般的に斤量が1キロ違えば0.2秒≒1馬身差と換算されているため、単純に考えると斤量の恩恵で5馬身は確保できる計算となる。

 さらにオーギュストロダンが首尾よく勝利となれば、これまで英・愛ダービーとキングジョージの3つを制したガリレオやニジンスキーに肩を並べることになる。また、オーギュストロダンの主戦を任されているR.ムーア騎手には、当時ハービンジャーの主戦騎手でありながら、ワークフォースに騎乗したため後塵を拝した苦い記憶もある。13年の時を経てのリベンジにも注目したい。

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