注目の若手が「20戦全敗」の急ブレーキ…ブレイク直後に立ちはだかったトップジョッキーの壁、クイーンS(G3)にこそ「逆襲のチャンス」あり

佐々木大輔騎手 撮影:Ruriko.I

 現在活躍中の若手騎手といえば、リーディングトップ10に名を連ねる岩田望来騎手、西村淳也騎手、菅原明良騎手らに注目が集まっているが、今夏にブレイクの兆しを見せたのは今年でデビュー2年目を迎えた佐々木大輔騎手だ。

 同期の今村聖奈騎手や角田大河騎手が重賞勝ちで目立った中、佐々木騎手は昨年9勝と地味な存在だった。今村騎手や角田河騎手らが、スマートフォンの不適切使用の一件で30日間の騎乗停止処分を受ける中、着実に腕を磨いていた佐々木騎手が急成長。ウサギとカメのように彼らとの立場は逆転し、現在は37勝で同期トップを独走している。

 春の新潟開催では、最後の最後で菱田裕二騎手の前にリーディング獲得に失敗したものの、夏の函館開催で横山武史騎手を抑えて待望のタイトルを奪取。舞台が札幌開催へと替わっても、この勢いなら健闘すると見られていた。

「20戦全敗」の急ブレーキ…

 しかし、まだ1週目の開催が終了しただけとはいえ、好調だった函館と違ってまさかの20連敗。3着にすら一度も入れないという不振に陥ってしまった。函館から急激に成績が落ち込んだ理由とはなんだろうか。

「単純に騎乗馬の質が低下しただけだと思います。函館の時に夏休みを取っていたC.ルメール騎手も札幌には本格的に参戦。実際に佐々木騎手の騎乗馬も札幌では1番人気が1頭もいませんでしたし、比較的上位人気でも3番人気と4番人気に1回ずつでした。

後は人気薄の穴馬ばかりでしたから、特別悲観する必要はないでしょう。いくら乗れているといっても、これではなかなか勝てないのも仕方ありません。チャンスのある馬に乗る機会があれば、実力を発揮してくれると思います」(競馬記者)

 確かにブレイクの兆しが見えたとはいえ、まだまだ売り出し中の若手騎手のひとりであることに変わりはないことも事実。ここで腐らずにひとつでも上の着順を目指してアピールすることができれば、自ずと結果もついて来るはず。

クイーンS(G3)にこそ「逆襲のチャンス」あり

 そんな佐々木騎手だが、今週末に開催されるクイーンS(G3)にこそ逆襲を期待できそうだ。

 コンビを予定しているサトノセシル(牝7、美浦・堀宣行厩舎)は、7歳と高齢ながらキャリはまだ18戦と馬はまだまだ若い。3走前の福島記念(G3)で牡馬相手に3着、前走の中山牝馬S(G3)で3着に入ったように重賞級の実力の持ち主だ。

 しかも昨年のクイーンSは、8番人気の低評価を覆して2着。勝ったテルツェットとはハナ差の接戦を演じた。ルメール騎手が騎乗することで人気になりそうなルビーカサブランカが4着だったことを思えば、十分に勝ち負けを意識できるパートナーだろう。

 軽量の3歳馬ドゥーラやライトクオンタムに人気が集まりそうだが、過去10年で3歳馬は2017年のアエロリットが優勝したのみで他に好走例がない。それなら昨年ハナ差2着のサトノセシルの一発に期待出来そうだ。

『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、26日時点でサトノセシルは7番人気の想定。札幌で成績を落とした佐々木騎手が、「調子を落としている」と決めつけてしまうのは早計かもしれない。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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