岩田望来「素行不良」で追放されても重賞4勝目ゲット! 減量トラブルや夜遊び発覚した「問題児」が干されなかったワケ

 6日のレパードS(G3)を制したのは、ライオットガール(牝3、栗東・中村直也厩舎)と初コンビを組んだ岩田望来騎手だった。

 2019年3月に藤原英昭厩舎からデビューした同騎手は、2022年12月24日に初のJRA年間100勝を達成した若手の注目株。 22歳6ヶ月24日でのJRA年間100勝は、あの武豊騎手(19歳8カ月12日)に次ぐ史上2番目の記録となった。

 関西の大御所の藤原英昭厩舎に所属したことや、強力なエージェントのバックアップもあり、早い段階から頭角を現した岩田望騎手だが、これで通算4勝目の重賞勝ち。当時は詰めの甘さや経験不足を露呈したこともあってか、初重賞勝利までに97連敗を喫したものの、ロータスランドに騎乗した2022年の京都牝馬S(G3)で待望の初白星を飾ると、同年の京都新聞杯(G2)で2勝目を挙げた。

 今年も京都金杯(G3)をイルーシヴパンサー、そしてレパードSでライオットガールを勝利に導く2勝目をゲット。他の同期に比して騎乗馬の馬質に恵まれていたことは確かだが、経験を積み重ねることで徐々に実力も伴ってきた。

 また、ライオットガールを管理する中村直也調教師にとっても、嬉しい重賞初勝利となった。浅見秀一厩舎を引き継ぐ形で2022年3月に開業した中村師だが、ノーザンファームや社台ファームなど、生産界を代表する大手との繋がりが薄いながらも、初年度から17勝を挙げる好成績を残した。

「浅見厩舎は一癖ある元スタッフも多く、開業当初は大変だったと思いますが、上手くバランスを取りながら円滑な厩舎運営が続いているみたいですね。腕は確かなので関係者からの評価も上がりつつあります。

これまでヤマニンやロードの馬を中心に預かっていましたが、サンデーレーシングやキャロットファームなど、ノーザンファーム系や社台系の馬も加わり、管理馬の馬質は確実に変わっています。イズジョーノキセキの転厩も中村先生の手腕を期待してのことでしょう」(競馬記者)

 岩田望騎手の話に戻るが、勝利騎手インタビューでも話していたように、ライオットガールの実力なら牡馬が相手でも通用すると信じていた様子。レースぶりも完璧で、番手につける正攻法の競馬から前を交わして後続の追い上げを凌ぎ切った。着差を考えても仕掛けのタイミングはドンピシャ。ゴール後にガッツポーズも飛び出すなど、本人も相当嬉しかったのだろう。

減量トラブルや夜遊び発覚でも「問題児」が干されなかったワケ

「実は前走のマレーシアCでも騎乗予定でしたが、ハンデが51キロだったために泣く泣く諦めた経緯がありました。それだけにようやく乗れた馬で重賞も勝てたのですから、そりゃあガッツポーズも出る訳です(笑)。

過去には減量に苦労して急遽の乗り替わり、今年は馬主の飲み会を断っておきながら、裏では同期らと飲み明かしたことがバレて、所属していた藤原英昭厩舎から追放されるような格好でフリーとなりました。それでも重賞で騎乗依頼が来るということは、岩田望騎手の手腕が買われているのでしょう」(同)

 現在は元師匠と絶縁状態になり、普通なら大きな後ろ盾を失って干されても不思議ではないところだが、フリーになった原因はともかくとして、騎乗依頼はそれほど減っていない。

 記者の話によると、性格的には穏やかで最近の若手の中では裏表がなくて落ち着いており、関係者の評判はそれほど悪くないとのこと。今年の騎手リーディングでも、先週の開催を終えて4位とトップジョッキーの先輩たちと遜色ない成績を残している。

 ただ、これから秋にかけて、短期免許の外国人騎手が続々と来日するため、大きな正念場を迎える。若手騎手にとっては苦しい時期となるが、そんな状況でこそ真価が問われるだろう。

 現在のポジションに慢心することなく、騎乗技術に磨きをかけていけば、いずれは関西を背負って立つ存在になるかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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