ガルサブランカ、デビュー戦快勝も「C.ルメール争奪戦」勃発!? 「イクイノックス妹」最大のライバルは身内にあり?
12日、新潟競馬場で行われた5Rの2歳新馬戦は、1番人気のガルサブランカ(牝2歳、美浦・木村哲也厩舎)が勝利。日本が世界に誇るイクイノックスの妹が単勝1.4倍の支持に応え、まずは白星発進を決めた。
話題の大物が鮮やかにベールを脱いだ。13頭立て、芝1600mのレース。好スタートを決めたガルサブランカだったが、無理せず中団やや前からの競馬。あえて馬群に入れたのは、兄の主戦も務めるC.ルメール騎手の先を見据えた“英才教育”の一環だろう。
最後の直線では前の馬がふらついて、追い出しを待たされる不利。しかし、ゴーサインが出てからの伸び脚は、さすが現役最強馬の妹だった。あっさりと馬群から抜け出すと、最後は逃げ粘るニシノインヴィクタに1馬身半差をつける余裕のゴール。注目の良血馬が鮮やかにデビュー勝ちを決めた。
「着差以上に強い内容でした。ルメール騎手も『まだ子供で物見したり、コーナーで頭を上げていた』と指摘していた通り、ペースが緩んだ3コーナー付近で大きく口を割ってしまうなど、まだ幼い面もありますが、それであの内容なら十分に合格点だと思います。
現時点で兄と比較するのは可哀想ですが、デビュー戦のインパクトは勝るとも劣らない印象。血統的なスケールからも、今後が非常に楽しみな1頭であることは間違いないですね」(競馬記者)
デビュー戦快勝も「C.ルメール争奪戦」勃発!?
偉大な兄の背中を追って、大きな一歩を踏み出すこととなったガルサブランカだが、強いて今後の課題を挙げるとすれば、まずは「ルメール騎手の確保」ではないだろうか。
ルメール騎手といえば、5年連続リーディングなど言わずと知れたJRAのトップジョッキー。毎年2歳新馬戦が開幕する6月から、翌年のクラシック候補が列を作る引く手あまたの存在だ。
このフランス人ジョッキーとクラシック本番へ挑めるのは、そんな“サバイバル”を勝ち抜いた大器だけであり、かつてはイクイノックスもそうだった。ルメール騎手とクラシックを共にすることは、それ自体が栄誉と言っても過言ではないほど競争は過酷だ。
実際にルメール騎手は、これで今年の2歳新馬を早くも5勝目。その内牝馬で4勝しており、ガルサブランカは多くの素質馬を相手に“ルメール争奪戦”を繰り広げることになる。
中でも先月、函館芝1800mのデビュー戦を飾ったレガレイラは大器と評判の1頭。ルメール騎手も「性格も真面目だし、ラストは良い瞬発力を見せてくれたね。能力が高そう」と非常に高く評価している。ガルサブランカにとっては同じ木村厩舎所属と「最大の敵は身内にあり」といったところか。
「とても真面目だった。まだ子供で物見したり、コーナーで頭を上げていたけど問題なかった。最後はいい脚を使ってくれました。切れもあるし楽しみ」
レース後のルメール騎手の評価は概ね好感触と言えるだろう。ちなみに「兄」イクイノックスにおけるデビュー戦のルメール騎手のコメントは以下の通りだ。
「強かった。今日は全部が良かった。スタートが良かったし、真面目に走った。それに、まだ緩いのに追い出すとすぐに反応できたからね。トビが大きくて能力があり、伸びしろもあるので、これからパワーアップすれば凄く楽しみ」
一昨年の8月28日に新潟の芝1800mでデビューしたイクイノックスは、2戦目で東京スポーツ杯2歳S(G2)を制してスター街道を歩んでいくが、ここまでのキャリア8戦でルメール騎手は一度も鞍上を他の騎手に譲ったことがない。今春にはドバイで初の海外遠征(ドバイシーマクラシック・G1)を行ったが、鞍上が変更になることはなかった。
「(イクイノックスとは)走り方が軽いところが似ていますね」
レース後、そうイクイノックスとの共通点を語ったルメール騎手。果たして、来年の牝馬クラシックはガルサブランカと共に歩んでいくのだろうか。偉大な兄に続いてデビュー戦を飾った妹だが「次の戦い」はすでに始まっている。