何故「日本ダービー+菊花賞」二冠馬は生まれないのか? タスティエーラが菊花賞「直行」有力も二冠達成は前例なし…勝てば史上3頭目の偉業
ノーザンファーム早来で放牧中の日本ダービー馬タスティエーラ(牡3、美浦・堀宣行厩舎)がステップレースを挟まず、菊花賞(G1)に直行する方針であることが馬主のキャロットクラブが公式ホームページで発表している。
春二冠を戦った多くの有力3歳馬がラスト一冠の菊花賞を避けるようになって久しいが、中でも世代の頂点に立ったダービー馬と菊花賞は極めて薄い関係になってしまっている。
春二冠を達成した馬には「菊花賞を勝てば三冠馬」という十分なモチベーションがある一方、そうではないダービー馬の菊花賞出走は、2014年のワンアンドオンリーが最後。それ以前でも2001年のジャングルポケットまで遡らなければならない。
そんな約10年に1度のレアケースとなるタスティエーラだが、データ的にも菊花賞は厳しい戦いになるかもしれない。過去に日本ダービー(G1)から直行して勝った馬がいないだけでなく、そもそも「日本ダービー+菊花賞」という二冠馬が極めて少ないからだ。
何故「日本ダービー+菊花賞」二冠馬は生まれないのか?
「1973年のタケホープ、1943年のクリフジが達成していますが、クリフジは牝馬でオークス+日本ダービー+菊花賞という変則三冠馬。純粋に日本ダービーと菊花賞だけとなると、タケホープ1頭しかいません。
単純に距離だけを見るなら、2000mの皐月賞(G1)よりも2400mの日本ダービーの方が3000mの菊花賞に近いはずですが、何故か日本ダービー+菊花賞の二冠馬は極めて少ない。もう49年間も出現していないことになります。これだけ少ない理由はある意味、競馬界最大の謎といえるかもしれません」(競馬記者)
記者が話す通り、最も難易度の高い偉業を成し遂げた三冠馬は、2020年のコントレイルが史上8頭目。その次に難しい二冠馬は、皐月賞+日本ダービーではドゥラメンテやトウカイテイオーら16頭。皐月賞+菊花賞の二冠馬でもゴールドシップやセイウンスカイら8頭がいる。
しかし、その一方で残された二冠、つまりは「日本ダービー+菊花賞」となると、実は史上2頭しかいない。
異例の直行が有力となったダービー馬タスティエーラがこれまでの歴史を覆し、史上3頭目の「日本ダービー+菊花賞」の二冠馬となるか、それとも皐月賞馬ソールオリエンスらのライバルが逆襲するか。クラシック最後の一冠を懸けた3歳牡馬たちの戦いは、これからも目が離せない。