アメリカで行方不明の名牝を社台総帥が発見…シンボリルドルフですら勝てなかったと噂された大差勝ち、とある新潟2歳Sの波乱万丈【東大式必勝馬券予想】

 27日は札幌でキーンランドC(G3)、新潟で新潟2歳S(G3)の2重賞が行われる。

 私は一攫千金のWIN5を毎週1万円程度嗜むことにしているが、去年の同じ日曜も初っ端の札幌10Rを1頭だけマークの1番人気メンアットワークが勝って幸先の良いスタート。以降は9番人気、2番人気と来てキーンランドCはC.ルメール騎手なのに人気薄だった6番人気ヴェントヴォーチェが制し、ここまで全的中!WIN4のリーチで新潟2歳Sを迎えることになった。

 3頭マークのどれかが勝てば200万円は確実、心臓はバクバクの中ゲートが開き、直線半ばで橙の帽子2頭が外から抜け出す。2番人気のシーウィザードと3番人気のウインオーディンだ。

「両方買ってる!!帯封もらった!」と思った瞬間、内から緑の帽子がスルスルと……。映画のシーンのように、すべてを捨ててくWIN5~キタウイング(by中森明菜)は買ってないよ。まさに「愛はミステリィ!」だが、「夏は牝馬」「連闘馬に要注意」この東大式鉄則を忘れていなければマークできた。

 彼女は3歳になり11番人気でフェアリーS(G3)を制するも、春の牝馬二冠は12着と15着。強いんだが気分が乗らぬと仕事しない、中森明菜似の気まぐれ嬢キタウイングに今も恨み骨髄だ(笑)。

 そんな新潟2歳Sだが、もっと気まぐれで数奇な運命に彩られた女王を紹介したい。

 その名はマリキータ、第3回(1983年)の覇者だ。無敗の三冠馬シンボリルドルフと同期の彼女は8月の新潟新馬戦(芝1200m)を大差のレコ―ド勝ちで衝撃デビュー。続く新潟2歳S(当時は3歳S、芝1200m)も2着に8馬身差をつけ、前走を1秒以上縮める1分9秒8の大レコードで逃げ切り圧勝した。

 皇帝ルドルフも新潟デビューだが、たとえ対戦してもマリキータには敵わなかったであろうと囁かれたほどだ。夏の女王となった彼女は京成杯3歳S(OP・当時)を2着惜敗の後、朝日杯3歳S(当時OP・現フューチュリティS)に駒を進めて牡馬相手に単勝1.7倍の圧倒的1番人気に推されるも距離が長かったか6着と初の大敗。4歳(当時呼称、以下同)クラシックシーズンも骨膜炎で棒に振り、5歳1月に復帰も13、15、13着と女王の面影もない零落ぶり。8月の関屋記念(OP・当時)を2.4秒差11着に大敗した彼女を見た馬主は「環境を変えれば必ず復活する」と渡米を決意。主戦の中野渡清一騎手(外車マルゼンスキーで8戦8勝)を伴うという贅沢な渡航でカルフォルニアに赴いたものの、彼女は環境の激変で疲弊してしまう。

 そして中野渡の帰国後には現地の調教エージェントが癌に冒されたとかで音信不通となり、マリキータは一度も出走が叶わぬまま行方不明になってしまった。ところが5年後、ケンタッキーの繁殖牝馬セールを訪れた社台の総帥・吉田善哉氏が偶然Mariquitaという名の母馬を発見。即座に連絡を入れたオーナーの強い願いで約1000万円を立て替え落札し連れ戻すことになった。

 日本の土を5年ぶりに踏んだマリキータは天道虫(スペイン語でMariquita)のような元気を取り戻し、重賞勝ち馬ブラビオーをはじめ12頭の子宝に恵まれ、アメリカにも3頭の産駒を遺し血脈は異国でも受け継がれている。2000年生まれの牝馬の名は「ココニサチアリ」…♪嵐も吹けば雨も降る 女の道よ なぜ険し(by大津美子)…を彷彿とさせる波瀾万丈のマリキータの一生であった。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 直接対決がほとんどない若駒同士、荒れそうと思いきや過去5年の馬連は2018年から順に1、2、1、1、4番人気。平均配当は790円。ガチガチじゃないか!2013年なんてハープスター→イスラボニータですぜ!(馬連1640円は美味しかった)。今年も、東京の新馬で上がり33秒3の鬼脚で圧勝した牝馬アスコリピチェーノを軸にルージュスタニング、エンヤラヴフェイス、ヴァンヴィーヴ、ヒヒーンら「前走楽勝の評判馬」へ馬連で買い目を絞ろう。

 そして勝者のその後の長い人生(馬生)に思いを馳せよう。♪君を頼りに私は生きる ここに幸あり 青い空。

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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