武豊「G1完全制覇」の大偉業に現実味…ドゥラメンテ産駒ガイアメンテに続きまた1頭、「キタサンブラック2世」の評価も再上昇
20日、札幌競馬場で行われたクローバー賞(OP)は、連闘で挑んだコスモディナー(牝2、美浦・伊藤伸一厩舎)が2着カイコウに1馬身半差で快勝した。
レースはテラメリタにC.ルメール騎手、ノヴァエクスプレスにJ.モレイラ騎手、ドナベティに武豊騎手といったトップジョッキーの騎乗馬が3強を形成し、コスモディナーは少し離された4番人気。本馬は前走で完敗を喫していたこともあり、新馬勝ちを決めていた無敗のライバルたちが未知の魅力で上回ったということだろう。
しかし、結果的には中団から早めに進出して抜け出す完勝。ここでは一枚力が上だったことを証明した。鞍上の松岡正海騎手も「スパートは早めになったけど、長くいい脚を使うからね。距離短縮が良かったのかな」と振り返っている。
「キタサンブラック2世」の評価も再上昇
強敵の揃った一戦を制したことにより、暮れの阪神ジュベナイルF(G1)への出走も視野に入るコスモディナーだが、その同馬をコスモス賞(OP)で6馬身も置き去りにしたのが、エコロヴァルツ(牡2、栗東・牧浦充徳厩舎)だ。
先行抜け出して圧勝したブラックタイド産駒は、一部のファンから早くも“キタサンブラック2世”と期待されているクラシック候補である。
オッズ的に2強の一騎打ちと目されたコスモス賞だったが、桁違いの走りでコスモディナーを子供扱いにして大楽勝。これだけなら相手が弱かったという見方をされても仕方ないものの、負かした相手が次走で評判馬相手に快勝したのだから、相対的に「本当に強かった」ことが証明された。
8頭立てで行われた芝1800mのレースを3コーナーから先頭に立つ強気な競馬。手応えに余裕を残したままラスト2ハロンを11秒7-11秒8で駆け抜け、上がり3ハロンのタイムもメンバー最速と申し分ない内容だった。
また、主戦を任されている武豊騎手にとっても、いよいよJRA・G1のコンプリートが現実味を帯びてくる。
数多くのG1レースを制してきたレジェンドだが、長年相性の悪かった朝日杯フューチュリティS(G1)は、2年前にドウデュースとのコンビで待望の勝ち星を手に入れた。となると、未勝利のホープフルS(G1)を勝てば完全制覇の偉業を成し遂げられる。
百戦錬磨のレジェンドも「そりゃ、あと1つとなったら全部そろえたいという気持ちはあるし、年に1回しかチャンスはない」と意識するレース。このタイミングに底知れない魅力を持つエコロヴァルツと出会えたことは大きな意味を持つ。
ただ、これだけで終わらないのが武豊騎手。8月の新馬戦を快勝したガイアメンテもクラシック候補と評価されている逸材だが、こちらもお手馬の1頭だ。前人未到の大記録達成を見据えた期待馬2頭の存在は、実りの秋を予感させる。残されたラスト1ピースを埋めてくれるのは、はたしてどちらだろうか。