岩田望来&武豊も霞む、豪州の女王が示した「総合優勝より大事なもの」に賞賛の声。WASJ史上初「女性騎手優勝」寸前も、まさかの結末…

岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I

 26日、27日の2日間をかけて札幌競馬場で行われた2023ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)は、岩田望来騎手の逆転優勝で幕を閉じた。

 合計4戦を通じて勝利こそなかったものの、2日目に2着、3着と着実にポイントを加算。特に最終戦となった第4戦では最低人気のウインルーアを3着に導き、三連単43万馬券を演出した手腕はWASJ王者に相応しいものだった。

 その一方で、そんな岩田望騎手に負けずとも劣らない称賛を集めたのが、豪州を代表して参戦したR.キング騎手だ。

 第1戦で勝利を挙げ、第2戦では外枠発走のアクシデントがありながらの2着。堂々の首位ターンで2日目を迎えたキング騎手だったが、最後の最後にわずか1ポイント差で岩田望騎手に逆転を許してしまった。

 とはいえ、女性騎手としてはWASJ史上最高となる総合2位。それだけでも賞賛に値するが、多くの競馬ファンの心を打ったのが第4戦で見せたキング騎手の判断だ。

WASJ史上初「女性騎手優勝」寸前も、まさかの結末…

 9番人気のアトミカとのコンビでWASJ最終戦に挑んだキング騎手。ポイントランキングで首位に立っており、大崩れさえしなければ総合優勝濃厚だった。

 14頭立ての芝1800mのレースで好位に付けたアトミカとキング騎手だったが、勝負所を迎えた頃には勝ち負けからは脱落しており、あとは何着に粘れるかという状況。総合優勝に向かって、キング騎手も激しくアクションしたが、直線半ばを迎えた辺りで急に動きを止めた。

 アトミカはそこからズルズルと後退……。相棒の異常を察知したキング騎手がゴールを迎える前に下馬するというショッキングな結末となってしまった。

「最後は競走中止という、キング騎手にとっては残念な結果に終わってしまいました。結果論になりますが、優勝した岩田望騎手とは1ポイント差。第4戦はJRAの規定で最下位扱いとして1ポイントが加算されましたが、もし9着以上であれば総合優勝だっただけに本当に惜しい結果だったと思います」(競馬記者)

 未完走という不完全燃焼に終わってしまったキング騎手だが、レース直後にはSNSなどを通じて「優勝懸かってたのに冷静な判断」「フェアプレー賞あげたい」「すぐ止めてくれた」「初めて見たけど、めちゃくちゃ好きになった」「馬優先の好判断」など、全国の競馬ファンから称賛の声が続々……。

 中には「また日本に来て欲しい」と来年のWASJや、今後の短期免許参戦を期待する声もあった。

「残念ながらアトミカは左第1指関節脱臼で予後不良になってしまっただけに、キング騎手としても思うところはあると思いますが、ギリギリの勝負の中での判断でしたし、止めるのが遅れればもっと酷いケガになっていた可能性もあります。

優勝した岩田望騎手、2ポイント差の3位で惜しくも連覇を逃した武豊騎手も見事でしたが、今年のWASJで最も印象に残ったのは彼女だったと思います」(同)

「近いうちにまた日本に来て、JRAのジョッキーと勝負したいです」

 最後は残念な結果に終わってしまったが、今年のWASJを通して日本の競馬ファンに大きな存在感を示したキング騎手。今回は複雑な気持ちで日本を去ることになってしまったかもしれないが、またJRAのターフで活躍する姿を見てみたい。

GJ 編集部

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