たった「5日」で初G1勝利の離れ業…横山典弘の最年長記録も阻止、単勝を買い続けるだけで「儲かる刺客」が秋競馬に波乱呼ぶ?

タスティエーラ 撮影:Ruriko.I

「騎手が乗り替わった馬はダービーを勝てない」

 日本競馬で長らく続いたジンクスもD.レーン騎手が初騎乗のタスティエーラで制したことにより、すんなりと克服されてしまった。短期免許で日本に来日する外国人騎手は、いうまでもなくトップクラスの腕前を持つ一流どころばかり。

 また、彼らの来日を積極的にサポートすることの多いノーザンファームが、後ろ盾となって騎乗馬のバックアップをしていることも大きいだろう。

 各国の外国人騎手たちが腕を競い合った「2023ワールドオールスタージョッキーズ(以下WASJ)」も大きな注目を集めたが、秋のG1シリーズを見据えた再来日にも期待できそうである。

 目玉となりそうなのは、L.モリス騎手(英国)の再来日だ。

 昨年の凱旋門賞(G1)を制したアルピニスタの主戦としても知られるトップジョッキーだが、参戦を噂されたパートナーはジャパンC(G1)を前に脚元の故障が判明。引退が決定したため、日本での騎乗は実現しなかった。

 札幌競馬場で開催された今夏のWASJで初来日が実現。結果は11位タイと振るわなかったが、今回は短期免許で騎乗する見込みだ。

 それ以外では、18日まで騎乗していたマジックマンことJ.モレイラ騎手、日本でお馴染みのR.ムーア騎手、W.ビュイック騎手も来日を予定。昨秋の活躍が記憶に新しいT.マーカンド騎手とH.ドイル騎手の夫妻、B.ムルザバエフ騎手らも短期免許で来日するといわれている。

B.ムルザバエフ騎手 撮影:Ruriko.I

 いずれ劣らぬ腕達者たちだが、独断と偏見を承知の上で最も注目したいのは、ムルザバエフ騎手。テュネスのジャパンC出走をきっかけに、初めて短期免許で騎乗したドイツからの刺客は、関係者や競馬ファンにとんでもないインパクトを残した。

たった「5日」で初G1勝利の離れ業…

 昨年12月17日に土曜中京の2Rから騎乗したムルザバエフ騎手だが、5鞍目となった日曜中京の2Rで初勝利を挙げると、重賞初騎乗の阪神C(G2)で11番人気のラウダシオンで3着に入る好騎乗を見せていた。

 残念ながら初重賞初勝利こそ逃がしたものの、それ以上に大きな爪痕を残したのが、短期免許で騎乗した5日目にあたるホープフルS(G1)。なんと14番人気の超大穴ドゥラエレーデで重賞初制覇どころかG1初優勝まで決めてしまったのだ。

 既に日本で実績を残している外国人騎手とは異なり、騎乗馬の質も特別抜けていなかったにもかかわらず、ハナ差2着に退けた相手も最年長重賞勝利とG1制覇の懸かっていた大ベテラン横山典弘騎手。かつて全国リーディングを獲得したことのある第一人者を競り落としたのだから、「ムルザバエフとは何者なのか」と気になったファンも多かったのではないか。

 これだけならマグレの一発屋と言われかねないのだが、年を越してもムルザバエフ旋風は続いた。1月の東海S(G2)をプロミストウォリアで制して重賞2勝目、2月の小倉大賞典(G3)でもヒンドゥタイムズとのコンビで3勝目を加算した。

 3月5日の日曜中山の弥生賞ディープインパクト記念(G2)を7番人気セッションで7着に敗れたのを最後に帰国の途に就いたのだが、昨年12月17日から【21.17.13.98/149】の勝率14.1%、単勝回収率にして150%という好成績を残している。つまり、ムルザバエフ騎手の騎乗馬の単勝を買い続けるだけでプラス収支になる計算だったのだ。

 そう考えると前回の活躍により、馬質の向上も見込める今回は絶好の狙い目。実力に対して知名度はまだ追いついていないだけに、今度こそムルザバエフ騎手で密かに一儲けを目論む穴党もいるはず。

 秋のG1シリーズでもまた何かをやってくれそうな仕事人の一発に期待したい。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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