菊花賞直行のタスティエーラに一頓挫…三冠濃厚リバティアイランドにも気になる噂…この秋「最大の盛り上がり」はジャパンCより天皇賞・秋?

サトノグランツ 撮影:Ruriko.I

 24日に阪神競馬場で行われた神戸新聞杯(G2)は、川田将雅騎手が騎乗した3番人気サトノグランツが勝利し、本番の菊花賞(G1)に出走するメンバーの顔触れも大半が揃いつつある。

 1番人気で5着に敗れたハーツコンチェルトは賞金加算と権利取りに失敗。現状は収得賞金1500万の激戦区の抽選を突破する必要がありそうだ。

 主戦の松山弘平騎手が「いい競馬はできた」と評しながらも「思った以上に脚を使えませんでした」と歯切れの悪いコメント。好走している左回りに比して結果の出ていない右回りの阪神コースだったことも、少なからず影響していたかもしれない。

 昨年なら左回りの中京・芝2200m条件だっただけに、今年から阪神に戻ったことはツキもなかったか。いずれにしても菊花賞は右回りの京都で開催されるため、「サウスポー疑惑」の払拭が求められるだろう。

 また、菊花賞にはキャロットファームの所有馬が、ダービー馬タスティエーラを筆頭にレーベンスティールやフレーヴァード、ドゥレッツァなど複数出走する可能性もあるのだが、すべてが出走を最優先という訳でもないらしい。

「ダービーから直行するタスティエーラは、J.モレイラ騎手とのコンビで出走予定と発表されましたが、夏場に一頓挫あったという話も耳にしました。最悪の場合、使わないというケースもなくはないでしょう。もし回避するようなら、それ以外の馬たちから出られそうな馬を追加で使うことになるかもしれませんね」(競馬記者)

 ダービー馬が仮に使えなくても、代打候補が他にもいることは、有力馬を複数抱える馬主の強みともいえるだろう。

リバティアイランド 撮影:Ruriko.I

 それとは別で気になる噂も入ってきた。春の牝馬二冠を圧勝し、三冠濃厚といわれるリバティアイランドだが、秋華賞(G1)の後にジャパンC(G1)に向かわない可能性も出てきたという。

「管理する中内田充正調教師が『自分としては使いたいですが、自分の意見だけでは決められないです』と話していたそうなんです。断定はできないものの、決定権はもっと上のところにあることを暗に示唆している言葉だったように受け取れますね。そこで思い浮かぶのが、イクイノックスは同じノーザンファーム系クラブのシルクレーシングの所有馬ということです。

ジャパンC(G1)を勝てば褒賞金のボーナスもありますし、アーモンドアイを超えて歴代賞金王を狙うためにも絶対に負けられない大一番となります。それだけに3歳牝馬で斤量の軽いリバティアイランドが勝つようなら、そういった目論みが崩れてしまいます。そのため、同じノーザンファーム系ということで、“空気を読む”可能性もゼロとはいえなさそうです」(同)

 こちらについては、サンデーレーシングが2012年のジャパンCに出走したオルフェーヴルに三冠牝馬のジェンティルドンナをぶつけたら不覚を取った過去もあるだけに、慎重になっても不思議ではなさそうだ。

「最大の盛り上がり」はジャパンCより天皇賞・秋?

 ただそうなると、現時点で秋のG1が最も盛り上がるとしたら天皇賞・秋だろう。

 イクイノックスとドウデュースによるダービー以来の再戦もあれば、札幌記念(G2)でG1獲りに名乗りを上げたプログノーシス、昨年の牝馬二冠馬スターズオンアースやジャックドールなど多士済々。これらに加えてオールカマー(G2)でタイトルホルダーを負かしたローシャムパークも出てくるかもしれない。

 毎日王冠(G2)で好走した組も出走してくるようなら、更に楽しみなメンバー構成も期待できそうである。最強馬候補2頭の直接対決も天皇賞・秋でぶつかったあとのジャパンCよりは、天皇賞・秋の方がより注目が集まるはず。ファンが見たいレースを提供することにより、それが売り上げに繋がることは、主催するJRAも承知していると思いたい。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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