種牡馬「評価急落」も菊花賞前に巻き返し成功…トライアル勝利で高まる反撃の期待

撮影:Ruriko.I

 6月から始まった2歳新馬戦も、はや4ヶ月が経過する。産駒の快進撃が話題となっている新種牡馬スワーヴリチャードが、2歳馬の種牡馬リーディングを独走している状況だ。

 生存競争の厳しい種牡馬の世界では、初年度から産駒が“走らない”と判断されると、種付け料だけではなく種付け頭数も減少し、それが続くと早い種牡馬は数年で御役御免となる。スワーヴリチャードが当初の予想を覆す結果を残したのに対し、早くも危機に立たされている種牡馬もいる。

 長く種牡馬生活を続けるためには、鳴かず飛ばずではなく如何に「コンスタントに活躍馬を輩出できるか」が重要であり、今まさに岐路に立たされているのがサトノダイヤモンドだ。

 現役時代のサトノダイヤモンドは、ディーマジェスティやマカヒキらと激戦を繰り広げた2016年のクラシック戦線で菊花賞(G1)を制し、「サトノ」に初のG1タイトルをプレゼント。3歳で挑んだ同年の有馬記念(G1)では、武豊騎手とキタサンブラックのコンビに勝利し、JRA最優秀3歳牡馬にも輝いた。

 翌2017年には、凱旋門賞(仏G1)にも果敢に挑戦するほどの実績を持ち、2022年にデビューした新種牡馬の中では、リアルスティールやサトノクラウンといった名馬を抑え“代表格”と期待された。

「惚れ惚れするようなしなやかな筋肉をまとった均整のとれた馬体、きれいな姿勢と凛々しい立ち姿などは、そのまま産駒に受け継がれています」

 供用先の社台スタリオンステーション関係者が、そうコメントしていたように種牡馬としての期待も大きかったはずだ。

 しかし、スタッドインしてからの当初は、安定して140頭前後の種付けを行っていたが、今年は、半数以下となる約60頭まで激減。人気が急落した理由として、2022年にデビューした初年度産駒の不振が考えられるのはもちろん、2歳馬の初動が鈍かったことでも、印象が悪くなってしまった様子だ。

サトノグランツ 撮影:Ruriko.I

種牡馬「評価急落」も菊花賞前に巻き返し成功…

 そんなサトノダイヤモンドの救世主として期待されるのが、初年度産駒のサトノグランツ(牡3、栗東・友道康夫厩舎)である。

「春以降中長距離の番組が増えてからさらなる躍進が期待でき、まさにクラシック向きの種牡馬と言えるのではないでしょうか」

 社台スタリオンステーションの関係者がコメントしたように、今年の5月に行われた京都新聞杯(G2)での勝利は、まさにその通りとなり、サトノダイヤモンド産駒として、待望の重賞初制覇を成し遂げた。

 その後、サトノグランツは、日本ダービー(G1)に駒を進めたものの11着に敗れたが、先日の24日に行われた神戸新聞杯(G2)では他馬を圧巻する走りで勝利。見事、菊花賞の優先出走権を手にした。

 何とか重賞馬を輩出したことで、まずは最低限の面子を保ったサトノダイヤモンドだが、この先、サトノグランツの活躍により、種牡馬としての価値を上積みすることができるだろうか。

 最近では大人気競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)に登場するキャラクターでもあるサトノダイヤモンドには、このチャンスをモノにし、「父仔3代制覇」という偉業を期待したい。

GJ 編集部

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